転勤の可能性がある人が住宅ローン控除を受ける場合の注意点

住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除等)は、持ち家をローンで買いやすくするために、ローンの利息の負担を軽減する制度です。

持ち家派・賃貸派の争いは、税金の面では、持ち家が有利になっています。

売り手側から見ると、戸建てやマンションがローンで売れれば、その収益にあずかる人数が多く、公益性があるということでしょうか。賃貸では、まあ、大家さんくらいしか得しないですからね……。

住宅=住む家であれば、控除が受けられるということは

自分で住む家をローンで買うことを奨励する制度なので、反対に言うと、自分(所有者)が住まない家の場合、税額控除を受けられないんですよ。

似たところで言うと、地震保険料控除も、自分で住む家の保険料について、所得控除を受けることができる制度です(ローン控除と違って、所有は自分以外の親族でもよい)。自分で住んでいない家について払った地震保険料は、控除できません。

せっかくローンで買ったのに、住まないということがあるか? お勤めの方は、一家で海外転勤など、自分ではどうしようもない事情で、住まなくなる=住宅ローン控除が受けられなくなるリスクがあります。

一度は確定申告をして初回の住宅ローン控除を受けた場合でも、その後、海外転勤で一家そろって転居した年は、住宅ローン控除が受けられません。

1回転居すると、その後は控除を受けられないが、復活はあり

それでも、数年後に海外勤務が終了して日本に戻ってきた場合は、やはり自分で住んでいますので、一定の条件のもとで、住宅ローン控除が受けられます!

区分再び居住の用に供した場合の再適用再び居住の用に供した場合の適用
住宅ローン控除買って半年以内に住み、1回は住宅ローン控除を受けた買って半年以内に住んだが、同年中に転勤となり、1回も住宅ローン控除を受けていない
転勤の前までにすること「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出(未使用分の住宅借入金等控除証明書・申告書を添付)手続きは不要
もう一度住む年にすること2年目以降の住宅ローン控除の確定申告をする(住宅借入金の年末残高証明書を添付)初年度の住宅ローン控除の確定申告をする(残高証明書+売買契約書など+住んでいたことがわかる住民票の写し+転勤の辞令を添付)

ご自宅に戻られてから、再び住宅ローン控除を受けたい場合は、2年目以降であっても、勤務先の年末調整で控除を受けることはできませんので、ご注意ください!

届出書の提出忘れがあると、手元に年末調整用の税務署からの書類が残っていますが、いったんこの未使用分は届出書と一緒に税務署に提出する必要があります。

なお、ローンの利払い自体は30年くらい続いたとしても、この減税が受けられるのは、最初に住んでから10年間限定です。住んでいなかった年数分は、復活しません(延長はない)のでご注意を。

「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出し忘れた場合

1回は住宅ローン控除を受けていた(再適用の)方、転勤前でバタバタしていて、「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を転勤前までに提出しそびれること、あると思います。

ですので、提出が転勤後(届出書の提出期限後)になってしまっても、遅れても提出してさえいれば、認めてもらえる可能性があります!(措法41条28項)

お住まいに戻ることができた方は、住んでいるのだから、住宅ローン控除を受けられるはず! と思って、確定申告を忘れずに行いましょう。勤め人の方は、翌年からは、また年末調整でローン控除を受けることもできます。

また、不在の間、人に貸していた場合は、自宅に戻ってきた年は、ローン控除が受けられません。トラップが多いので、ご心配の方は、税理士にご相談いただければと思います。


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