竜とそばかすの姫 男女の愛に偽装した親子の愛の物語

この映画、違和感を感じるシーンがいくつかあったと思います。「だからダメ」と即断するのもいいですが、なぜ違和感を感じるのか、考えてみても悪くないと思います。

一つ目、すずを見守るしのぶくん。二つ目、竜とベルがキスしそうになるのにしないで抱きしめるシーン。三つ目、3人で抱き合った後、ある男の子がすずに「大好きだよ」というシーン。

これらはいずれも、親子の愛を表現したシーンなのに、男女の愛に見せかけられているから、違和感を感じるのだと思います。「大好き」というのは、子供が親に言うセリフです。「歌よ」の歌詞にある「あなた」は親なるもので、「U」にある「止まない愛」とは親の愛のことではないでしょうか。

この映画は、子が愛を失いさまよう間、多くを経験し、他者(父や友人)と「ふつうの関係」が築けるまでに成長する物語なのです。