確定申告電話相談センターに寄せられる質問で、圧倒的に多いのが医療費控除についての質問です。
そのなかで特に多いものをまとめました。
源泉徴収票の「源泉徴収税額」が0円の人は、医療費控除をしても税金は還付されない
「医療費が戻ってくる」というのが、最も多い誤解です。医療費は戻ってきません。天引きされた税金が戻ってきます。
税金を天引き(源泉徴収)されていない人には、還付される税金もありません。
まず、ご自身の「公的年金等の源泉徴収票」「給与所得の源泉徴収票」「支払調書」を眺めていただき、「源泉徴収税額」に金額が入っているか、確かめましょう。そこが0円の人には、税金は還付されません。納税なくして、還付なし、です。
また、どんなに医療費がたくさんあっても、還付される税金は、天引きされた税金が上限です。
ここから、家族の中で一番天引きされている税金が多い人に、家族の医療費をまとめて確定申告してもらえばよい、というノウハウが導きだされます。
もっというと、適度に家族に医療費控除をばらけて申告させた方が、家庭ぜんたいの還付額を最大化することもできます。
家族で医療費は共有できるが、同様に医療費補てん金額も共有される
先ほどお話ししたように、夫婦の医療費は、夫か妻、どちらかにまとめることができます。
そうすると、入院の際の保険金などの、医療費を「補てんする金額」が、医療費を払った人と別の人が受け取る場合があります。
医療費を払って、医療費控除を受ける人の配偶者に、補てんする金額が入金された場合。
もらったのは配偶者ですが、医療費控除の申告をする本人の医療費から、そのもらった金額を差し引きます。
(参考)医療費の支払者と保険金等の受領者が異なる場合|国税庁 (nta.go.jp)
医療費×税率が還付されるが、必ずしもご自身の最高税率で還付されるのではない
医療費控除は、かかった医療費の額から、合計所得金額の合計×5%(上限10万円)を引いた残り×税率の分、税金が還付されるというものです。
税金(所得税)は、超過累進税率といって、所得が多くなればなるほど、多い部分に高い税率がかかっていきます。
これは、低い部分には低い税率がかかっているということです。
医療費控除の額を計算で求めたら、通常は、ご自身の所得でいちばん高い税率をかけた額が、還付される金額の目安です。
税率10%の人で、医療費控除の額(払った医療費-10万円)が2,000,000円(これが医療費控除の上限です)と出たら、20万円還付されそうな気もします。
しかし、税率10%の人(課税所得3,299,000円以下)の所得から、医療費控除2,000,000円を引いたら、税率は5%のレベルまで下がります。
そのため、医療費控除×10%よりずっと少ない額が還付されることになります。