新聞業界が軽減税率を通したすごさ。もう、「うちも軽減税率に!」という主張を聞かない

2013年ころ、もう10年以上前になりますが、日本新聞協会が、「新聞に軽減税率を」という大キャンペーンを張っていました。

→聞いてください!新聞への消費税軽減税率適用のこと|日本新聞協会 (pressnet.or.jp)

木村将秀税理士事務所(@kimura_ysd) • Instagram写真と動画

その目論見どおり、消費税10%に上がるタイミングで、新聞に軽減税率が導入されましたが、当初要望に入っていた「電子新聞」は除かれました。

→軽減税率はなぜ必要かQ&A|出版広報センター (shuppankoho.jp)

また、出版業界も、やはり軽減税率獲得運動を行っていましたが、こちらはダメでした。いずれの主張も、当時の選挙で公明党が推進していたのを、ご記憶の方も多いと思います。

→いまこそ、軽減税率 実現へ。 | 公明党 (komei.or.jp)

究極の節税策としての軽減税率要求

最近、Xで「本屋さんに軽減税率を」と求めるポストを見て、「なつかしいなあ」と思ったしだいです。(上記のページは検索すれば出ます。リンクはしておりません)

むかしは、「生活必需品だから軽減税率」という説明をされていたので、「なんでこれは生活必需品なのに、軽減税率じゃないの?」という質問もたまにあったものです。

ある意味、自分の業界だけ軽減税率にできれば、究極の節税策といえますね……。最近、そういう運動がされないのが不思議です。

それで事務負担が増加しても法案は通りがち

食品については、どこかの業界団体が推進運動をしていたという記憶がないですね。

EUの付加価値税では、食品に軽減税率を適用するのは当然だったので、当然の主張として入っていたのでしょうか。

消費税アーカイブ第16回 低所得者対策・軽減税率導入の経緯(中編) | 研究プログラム | 東京財団政策研究所 (tkfd.or.jp)

上記リンクだと、関係業界は反対だったとあります。事務負担の増加を懸念したものです。

税制改正で、事務負担が増えるから反対だ!という主張は、定額減税の議論を聞いていても、いまいち賛成が得られないようです。

今日の参院質疑を聞いていても、国民民主党・日本共産党から事務負担を懸念する質問があったものの、財務大臣の答弁ははっきりしないものでしたね。

医師会の失敗から、非課税を主張するのは、まれになりましたが

医師会が、「消費税の非課税」を主張したところ、かえって負担が増えて、「やっぱり課税にして」と主張するも、こちらも無視されているようです。

そういう意味でも、自分の主張を通した新聞業界というのは、ちょっと別格に感じます。2013年当時は、いまよりも市場規模が大きかったですしね。

しかし、ここも「読者への定期購読」のみ軽減税率8%という仕組みにされてしまって、仕入れの新聞代は10%という、キャッシュフロー的に罠っぽいのにされていたのが、さすが財務省という感じでした。

新聞屋さんは、課税期間の短縮を行わない限り、軽減税率のメリットが感じにくいものになっています。

税率がどうであろうと、新聞はどんどん値上がりしていきますしね。

ちなみに、私も昔かかわっていた業界ですので、新聞屋さんからの消費税などのご相談も、お受けしています。


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