税金映画といえば、いまでも「マルサの女」の名前が上がります。
伊丹十三作品は、ネット配信では見ることができません。権利者が、作品が埋もれないように流通をコントールしているからなのだそうです。
(「伊丹十三作品」がネット配信されない深い事情 「お葬式」「マルサの女」遂に4Kリマスター化 | 今見るべきネット配信番組 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net))
ちょっと前までなら、「DVDレンタルして……」と言いたいところですが、レンタルビデオ店はかなり少なくなったので、厳しいですね。
いまだと、 Blu-ray Disc をネット通販などで買う方法が主な視聴方法でしょうか。再販制の対象外なので、値引きして売っている通販サイトもあります。
いまでもなお、そこまでして見る価値のある作品です。税金にかかわる人(全員ですね)におすすめです。
1980年代の邦画
1987年作品。前年発売の「スーパーマリオブラザーズ2」をツインファミコンでプレイしているシーンが登場します。
ツインファミコンを所有している……金持ちの子の家だな、というのが伝わりますね。(ファミコン内蔵テレビ、スーパーファミコン内蔵テレビとか持っていた同級生……)
まあ昭和の邦画です。80年代の邦画をご覧になったことは?
同時代の邦画で私が見て憶えているものというと、「文学賞殺人事件 大いなる助走」 (1989) とか。私は10代のころ筒井康隆ファンだったので見たのですが。雰囲気が近いです。
全員におすすめですが、映画好きなら別に平気だと思いますが、そうでなければ、いちおう PG12 なので、そのおつもりでご覧いただければ。
PG12の邦画って、下から2番目というランクのわりに、昔もいまもなかなか、お子様と一緒に見るという感じではありませんね。
教訓の多い話
実印と印鑑証明を他人に渡しちゃいけないですね。勝手に会社を設立されて、社長に就任させられて、突然申告書用紙が送られてきてしまいます。
貸方科目の付け替え(売上高を借入金に偽装)、レジ開きっぱなし、バイトを雇っているのに源泉徴収もれ、3桁と4桁が併用された伝票、高級車、けんか別れ、支払が現金、金融機関の名入れノベルティ、B勘屋、同居人……。
自家消費…商品として仕入れたものを自分たちで食べてしまった場合、「売掛金にして、社長から会社にツケを払って、売上計上漏れの修正申告してください」と言われています。
あそこで奥さんが怒ったように、直感的ではないのですが、自分で食べたらその分を売上にしないと、在庫(棚卸)に残らないので、仕入れたときのまま経費になってしまい、利益が少なくなりすぎるからです。
個人の方でしたら、「家事消費等」の欄があるので、そこに入れて売上に含めるのですが、映画では法人だったので、売掛金にしろと言われたのかもしれません。
法人だけど、実質個人事業に近く、また商品を食べたことから、個人の家事消費等の処理に合わせたのでしょう。こっちだと、いまなら消費税も追加で払うことになります。
経費にならない役員賞与で法人税追加・源泉税追加というパターンもありえたのかなと。
映画では時代がら、紙の帳簿、現金、筆跡のアナログ的な対応が多く。この辺、いまやりにくいだろうなあと思いますが。(いまはデータのバックアップ・デジタルフォレンジック技術が進展しているそうです)
しかし、原則としては変わっていません。
あったはずのものを計算する方法
「あと〇円足りない」というセリフがあるのですが、なぜその不足額が分かるのかというと。
あったはずのもの を計算する方法があるからです。
あったはずのもの(期首残高+今期売上)-使ったもの=残ったもの。
実際に残ったものが、上の計算上の「残ったもの」に足りなければ、まだどこかにあるはずだ、ということになります。
会計ソフトの入力は、結局この引き算をやっているだけです。
で、「使ったもの」は税金を減らす効果のある経費ですから、ちゃんと入力済みと考えられます。すると、映画のように、売上を除いていると、それに合わせて残ったものを除く必要が出てきてしまいます。
それが、あちこちの仮名預金・偽名預金(大量のハンコは、銀行届出印ですね)、隠された現金・金の延べ棒として見つかるわけです。
平成15年以降、本人確認法施行により、こういったものは減っているそうですが。
映画「マルサの女」、単純に見るだけでも面白いですが、これで税金への感度をアップできます。一度、見てみてくださいね。
昨日のはじめて
Amazonの配達が22時過ぎに届いておどろき。