「タックスプランニング」というと、難しそうですが、どなたにも関係があることです。
「行動するのは、別に今年でも来年でもいい」というときに、税理士の知識が役に立ちます。
例えば自宅を売る際、今年売るか来年売るかで、税金が数百万違うこともあるのです。
七色に代わる土地建物の税金
いままでずっと住んでいた自宅を売って、40,000,000円の利益が出たとき、いつ売ったかで、税金(所得税)が6通りに変わります。
※個人の不動産業として土地ころがしをすると税金が重くなる特例もあって7通りありましたが、現在は停止されています(2026年3月まで停止の予定。といっても延長されるでしょうが)。
ちなみに、不動産の場合、5年超というのは、買ってから6回正月を迎えたかどうかです。(不動産以外は実際に5年超かどうか)
買ってから5回正月を迎えた場合は、分離短期譲渡となり、税率が上がります。
売却益40,000,000 | 所有5年以内 | 所有5年超 | 所有10年超 |
転居3年超 | 15,840,000 | 8,126,000 | 5,684,000 |
転居3年以内 | 3,960,000 | 2,031,500 | 1,421,000 |
「必ず売る」という予定があって、売る時期を多少選べるのであれば、
- いまが、引っ越して空き家になってから3回目の正月を迎えた年ならば、今年のうちに売るべき
- いまが、買ってからまだ5回目の正月を迎えた年であれば、翌年になってから売るべき
- いまが、買ってから9回目の正月を迎えた年であれば、やはり翌年になってから売るべき
ちなみに、一人暮らしのまま売らずに相続を迎えて、完全に空き家になってしまうと、所有10年超の特例(軽課※)は使えなくなってしまいます。
特例の適用にはさまざまな条件がありますので、くわしくは税理士にご相談いただければと思います。
※租税特別措置法第三十一条の三(居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)
配偶者に自宅を贈与するなら、結婚後20年超経ってから
配偶者に自宅や、自宅を購入するための資金を贈与する場合、結婚後20年超経っていた場合には、贈与税の非課税枠が2000万円増えます。
いまが19年目なら、まだ贈与するのはおすすめしません。やはり贈与税の額が数百万円違ってきますので。
贈与税の配偶者控除、おしどり贈与の特例などと呼ばれます。
この特例を使うケースは、債務のある経営者が自宅を差し押さえられないよう、配偶者に名義変更する場合などです。
退職するなら、社長就任後5年超経ってから
先代の相続で急に社長をやることになり、だがピンチヒッターなのであまり長くやるつもりはない、という場合。
それでも、社長を5年は続けていただくのをおすすめしています。
会社の役員は、5年超務めないと、退職金にかかる税金が多くなってしまうからです。(特定役員退職手当等に該当)
いまが4年目なら、もう2年がんばってみては。会社に貯まったお金を、少ない税金で取り出す方法として、退職金は非常に有効だからです。
これらは、ある年数以内、またはある年数を過ぎた人に、理由があって税金を安くしてくれる制度なので、動く時期に余裕がある場合、はじめからいつ実行するか計画することができます。いわゆる「節税」というものです。
その税金が安くなる時期を過ぎてしまってから、「しまった!」と思って書類上の日付だけを直したりするのは絶対にNGです。それは脱税なので、税理士はお手伝いできません。
行動の結果に大きな変わりがなく、実行する年が選べるなら、税金が少なくなるほうを選ぶ。それがタックスプランニングの基礎です。
昨日の片付け
紙がたまりがちな子どもの学校関係の書類を整理。小学校・中学校ごとに分けました。
その他いらない文具の整理整頓。こういうの、わりに好きです。