経営者が自分のお金を自由にしたいなら

金剛峯寺の根本大塔

個人事業主がもうかっているのなら、節税のために法人成りしたほうがいいとはよく言われます。

でも、特にお一人で行っているようなお仕事だと、いちがいにそうとは言えません。

確かに昔は、メリットが多かったです。消費税も2年間納めなくてよかったり、給与所得控除が大きかったりしましたので。

しかしいまは、インボイス制度も始まって、最初から消費税を納税する必要があったり、給与所得控除に上限が設けられたりしたため、昔ほどのうまみはなくなっています。

思ったより社会保険料も高いとお思いになるでしょうし、税理士報酬もアップするでしょう。

実は自分のお金を自由に使えるのは個人事業主

法人化して、社長(自分)の役員報酬としてお金を会社から引き出そうと思うと、原則として、毎月定額になります。

その定額を超えてお金を引き出そうとすると、会社から社長への貸付金となり、後で利子つけて会社に返す必要が出てきます。

だからといって、会社の経費にしたことにして、自分の生活費に使うのはNGです。

もし税務調査があれば、会社の法人税・源泉所得税・消費税を追加で払うことになり(ペナルティ付)、社長個人の住民税なども増額されてしまいます。

その点、個人事業主のままなら、その日の収入から、いくら生活費に充てようと自由です。

法人化するように取引先から求められているのでなければ、個人のままのほうがいい場合もあります。

法人で利益が出ていれば、役員報酬は抑えない

社会保険料がもったいないなどと、役員報酬を低めにするのはおすすめしません。

株主=社長の中小企業であれば、法人税などの税率は低いので、もうかっていれば会社にお金が貯まりやすくなります。

でもそのお金は、会社のための支払いに充てるためのものであり、社長個人のことには使えません。
(社長と会社のアンドが取れれば、公的に・業務用に、好きなブランドの備品を買えなくもないですが)

法人で払っている法人税などは、会社へのお金の保管料のようなものです。

ひとり社長=株主の会社では、税金は、最終的に社長個人が払うことになります。
税金を払ってはじめて、お金は自分のものになるのです。

会社で稼げているのであれば、来期のための純利益を十分残せるレベルで、役員報酬は高めに取りましょう。

役員報酬が低いから、不正に会社のお金を引き出したくなってしまうのです。所得税を払って、社長個人のお金にして、そこから好きことに堂々と使うことをおすすめします。

最終的には5年超社長をやって、退職金でもらうのが有利

会社からお金を引き出す方法として、会社のために仕事を続けながら、役員報酬として受け取るのが王道です。

給与所得なので、税金もそれなりに優遇されています。

いっぽう、後継者にゆずって、社長の仕事はしないで、株の配当だけもらう、という方法もあります。

ただ、税金の優遇は少なめです。働く必要がないというメリットはありますが、会社の財務状況によっては配当できない場合も出てきます。

会社のお金を自分のものにする方法で、いちばん税金が少なくて済むのは、実際にリタイアしたとき、5年超社長業をやったあとの退職金です。

(役員になってから5年以下で退職すると、退職金にかかる所得税が高くなります!)

社長としての実働期間が長くなればなるほど、少ない税金でお金を受け取れるようになります。

(社長を複数社兼務している場合は例外もあります)

退職金の金額を大きくして老後の資金を確保するためにも、退職の直前までの長期間、ご自身の手腕で会社の業績をキープしつつ、高い役員報酬を取り続けておくのが理想です。

退職の直前に急に上げたり、下げたりするのはおすすめしません。


昨日の緊急地震速報

ビルの11階の会議室にいましたが、それほど揺れず。でもその場のムードが一気に緊急事態となり、そのあと懇親会をしようという流れが消えて、三々五々帰宅しました。