会社の赤字が続いていて、法人税をしばらく払っていない。特に急激に悪化したわけではなく、恒常的に赤という感じ。
とはいえ、その赤字は、役員報酬のお金を会社に戻せばしのげる範囲なので、大した金額ではない。
ただ、そのせいで決算書の「役員借入金」が年々増えている……。返ってくるかな? という状況の方。
役員報酬の水準について、税理士に相談してみるタイミングです。
役員報酬を下げれば黒字になるか、試算しよう
まず、
赤字 < 役員報酬
の関係になっているか、決算書をチェックしてみましょう。
- 赤字:損益計算書の税引前当期純損失
- 役員報酬:販売費及び一般管理費の内訳(損益計算書の次のページにある)
役員報酬の年額より、赤字が小さいのであれば、役員報酬を下げることで黒字化できる可能性があります。社会保険料も下がりますので。
これで黒字になったら、法人税を払わなきゃいけない?
通常は、大丈夫です。
赤字続き(法人税の青色申告でも、所得金額が0)であれば、過去の赤字(繰越欠損金)で今期以降の黒字を相殺して、法人税は発生しないからです。
社長個人で見ても、課税されたあとの高い役員報酬から、会社にお金を貸すより、課税の少ない低い役員報酬から会社にお金を貸したほうが有利です。
その低い役員報酬は、社会保険加入を維持できる月額8万円あたりが下限でしょう(あとは生活費との相談となります)。
役員報酬を下げるタイミングに注意
ただし、役員報酬は、いつでも下げられるものではありません。
3月決算の法人の場合、新年度に入ってから6月までに開く定時株主総会等で、役員報酬の減額改定の決議をしてからになります。
- 5月に決議をして、5月から下げた額で支給(4月支給額は前年度と同額)
- 5月に決議をして、6月から下げた額で支給(4月・5月支給額は前年度と同額)
- 6月に決議をして、6月から下げた額で支給(4月・5月支給額は前年度と同額)
- 6月に決議をして、7月から下げた額で支給(4月・5月・6月支給額は前年度と同額)
会社のルールにもとづき、毎年、上のいずれかの改定・支給タイミングになっていれば、下げてOKです。
下げたあとは、次の改定タイミングまで同額であることが必要です。
下げた役員報酬の分、役員借入金の返済で取り返す
でも、役員報酬を下げると、やる気も下がるよな……。収入減っても、生活レベルは急に下げられないし……。
という方、社長に払うお金を減らして黒字化すれば、会社の預金残高も増えていきます。
その増えた分は、会社から、役員借入金の返済という形で、社長に戻すことができます。
しかも、社長から見れば、貸したお金を返してもらっただけなので、所得税も社会保険料もかかりません。
トクしていないから当然ですが、役員報酬と違って、好きなタイミングで会社から天引きなしでお金を取り出せるので、トクした感はあります。
負債の部にある、役員借入金も減っていきます。これは、残しておくと、社長に何かあったときの相続財産となり、相続税までかかってしまうので、ないほうが好ましいです。
繰越欠損金がなくなるまで、役員報酬は下げたままにして、会社の決算書は黒字にしておきましょう。
黒字の決算書があれば、いざというときに金融機関から借入れする際の力になります。
「法人税、払ってなくてうれしいな」ではなく、「会社の黒字は、万難を排する」を実感していただければうれしいです。
昨日のはじめて
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