個人事業主の必要売上高を出して、行動に変えよう

祭りのあと…にも会計業務があるのだろう

会社から独立して、個人で事業を始めて間もない方。今年の必要売上高を出してみましょう。

何に必要か? 次のものを払っても、お金が減らない売上高です。

  • 所得税(3月15日までに納税)
  • 市民税(6月、8月、10月、1月)
  • 県民税(6月、8月、10月、1月)
  • 個人事業税(8月、11月)
  • 国民健康保険料(6月から変更)
  • 国民年金保険料(6月から変更)…所得によらず一定
  • 生活費
  • 必要経費
  • 借入金の返済予定額

概算による必要売上高

これらの金額は、去年の申告書や決定通知書、銀行のお支払い明細、家計簿などから求めることができます。

横浜市在住で、去年の青色申告決算書の「差引金額」が2,200,000円で、配偶者控除・基礎控除がある場合(定額減税は考慮せず)、税金・社会保険料だけで484,570円になります。

内訳金額
所得税等12,900
市民税28,700
県民税7,900
個人事業税0
国民健康保険料231,310
国民年金保険料203,760

去年の生活費(税金・社会保険料を除く)は、家計簿でわかります。去年の実績をそのまま持ってきたとして、1,580,430円としておきます。

今年の必要経費はどのくらい見込んでいるでしょうか? これも去年並みに800,000円と見ておきましょうか。
(税込経理の場合は、ここに消費税の納税額を含めておきます)

借入金は今回、ないものとします。借入金の返済は経費に含まれていませんので、ある場合には加算します。

青色申告決算書に減価償却費がある方は、今年の支払う金額になりませんので、必要売上高から除外します。仮に65,000円としておきます。

税金・社会保険料+生活費+必要経費+借入金の返済予定額-減価償却費=必要売上高

484,570+1,580,430+800,000+0-65,000=2,800,000円

280万円の収入があれば、預金は理論上、プラスマイナス0になるということです。280万円を超えた分は貯金になります。

実際には、売上に比例して原価がかかる場合もあり、また、税金・社会保険料は利益にともなって変動しますが、ざっくりと把握することができます。

これは、簡易キャッシュフローという考え方から作ってみたものです。

必要売上高を、月や日数で割ってみよう

いきなり280万円と言われても、ピンとこないかもしれません。

12カ月で割ってみれば、約23万円/月。

365日で割ってみれば、約8千円/日、営業日で割ると約1.1万円/営業日。

1.1万円を1日8時間で割れば、約1,400円/時となります。

時給1,400円以下の仕事をすると、赤字になってしまいます。

こんな感じで、ご自身の実感がわく金額まで小さくしてみましょう。

必要売上高を、仕事の単価ごとに割り振ってみよう

お仕事に、1件あたり3.3万円、5.5万円、7.7万円という3つのメニューがある場合。

3.3万円×30件+5.5万円×20件+7.7万円×10件=2,860,000円になり、必要売上高を超えますね。

件数を合計すると年間60件・月5件の仕事をこなす必要があるということが分かります。

といった風に、仕事量のイメージをつけて、必要売上達成に向けて、動いてみてはと思います。

今年が終わるまであと〇日か計算してみて、「あと〇日で××円の売上が必要」といった情報を自分に与え、動機付けする方法もあります。

もちろん、計画どおりにいかないこともあるでしょう。その場合は、足りない金額だけ貯金が減るので、経費や生活費の削減も検討に入ってきます。

経理を計画に反映したいなら、個人の場合、家計簿をつけることも仕事の一部となってきます。

当税理士事務所では、フリーランスの顧問に限らず、単発の確定申告でも、今年の必要売上・目標売上・税金・社会保険料の試算を提供しています。

また、帳簿付けの方法も、ご相談をお受けしています。

木村将秀税理士事務所 (kimurazeirishi.com)


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