補助金の注意点 補助金なしでもっと安いものはないか

もらえる補助金を探して、申請して、受給することじたいは、ふつうのことです。

大企業もやっているし、中堅企業もやっているし、中小企業もやっています。

ふつうのことではあるのですが、ひとりでやっているスモールビジネスでは、ちょっと注意が必要です。

補助金・税額控除対象商品の割高さに注意

ここ数年の補助金に関するニュースで、ずっと気になっているのが、「出産費用の補助金を増額したら、産院が分娩料を、同額値上げした」という話です。

肝心の、産みたいと思う方の負担が、ぜんぜん減っていないような気がするんですけど……。

でもこれは、事業者の立場としては、当然の対応です。結果として、補助金は、もらう人にではなく、提供する人に直接流れているんですね。

この工事をすると、この機械を買うと、このソフトを買うと、補助金がもらえる、というのがありますが、どれも似たところがあります。

変わったところだと、法人税の税額控除や即時償却が受けられるものもありますが、これらの効果も値段に上乗せされている可能性もあります。

また、補助金や税控除対象となるサービスや商品は、そもそも高性能・高額のものが多いです。(住宅ローン控除の対象となる家とかもそうです……)

「そんなものが本当にウチに必要か?」、「補助金の対象外商品で、補助金を差し引いてももっと安いものはないか?」という検討をしてみたほうがいいと思います。

もちろん、この高性能機器の導入によって、他社と抜きんでることができるという見込みがあるなら、チャレンジしてみるのもいいことです。

補助金の申請手続きをしている間も、売上は立つか?

ひとりや夫婦などのスモールビジネスでは、ご自分が動かないと売上が立たない、というお仕事も多いです。

補助金を受給するための書類仕事が非常に多いので、けっこう時間がとられます。

そもそも、審査で落ちたら1円ももらえず、申請手続きにかけた時間がムダになるので、ちょっと水物っぽいところがあります。

めでたく補助金を受給できても、何年間かにわたってその後の状況を報告しないといけなかったり、一定の条件で返還しなければならなかったりすることも……。

その手続きに時間を取られていても、ソフトウェアのダウンロード販売などで手間をかけずに売上が立つならいいのですが。

そうでない場合、補助金収入があっても売上が減少してしまうかもしれない、ということも想定してみるのも大事です。

お知り合いに、その補助金をすでに受給できた人がいますか? その方から、手続きのアドバイスをもらえるようなら、時間の節約になりますので、補助金の申請を考えてみてもいいかもしれません。

それでも受給したのなら、圧縮記帳の手続きをしよう

補助金についてネガティブなことを書いてきましたが、その申請手続きをすることで、自社の強みを再認識できたり、従業員との一体感が強まったりする、ポジティブな側面もあります。

特に、必要な投資に、どうしても他の選択肢がない場合には、補助金対象商品を買わざるを得ないこともあるでしょう。

その場合、多くは、「国庫補助金等の圧縮記帳」というものが使えます。

補助金を受給した事業年度の所得を圧縮し、翌事業年度以降の所得を増やす、税金のあと送り効果が得られるため、これはおすすめしています。

補助金のホームページで対象かどうか確認して、税理士と圧縮記帳の実施を相談しましょう。

いまは、e-GOVで「補助金の確定通知書」というものがダウンロードできますので、申請書などといっしょに、税理士に提供してくださいね。

今日の読書

今日は家にいたので、法人税の新刊を1冊。補助金の項を読んで、思いついたことを書いてみました。