売上は、現金の入金時に入力するのではない

ご自分で確定申告をされている個人事業主の方の多くが、預金に収入が入ってきたときに売上にして、お金を払ったときに経費にしています。

店舗商売で、商品を売ると同時にお金を受け取るお仕事であれば、それでいいのですが。

サービス業で、今月仕事した分について、翌月入金されるというケースの場合、売上を入力するタイミングが間違っていることになります。

仕訳はルールを守ろう!(↑は仕分けの誤字)

売上の入力日付をいつにするか、知らなくて当然

個人の場合は、青色申告決算書で収入(売上)金額となっているから、収入があったときに売上にすればいい、と勘違いさせているような気がします。

独立する前の、お給料が振り込まれたときの感じと同じように処理しているのかもしれません。

実際に、お給料は振り込まれた年で、1年分の給与所得を出しますから。

しかし、独立して事業所得になったら、考え方がガラッと変わります。

それなのに、会計ソフトの入力の仕方は、学校でもやらないし、簿記の勉強をしたことがなければ、知る機会もありません。

売上を入力するのは、価値を生み出したとき+α

売上とは何か。

これは、ご自身が仕事をして、価値を生み出だすことです。

商品を欲しい人に売った、必要な人にサービスを提供した、相手は喜ぶ。これが価値を生んだということです。

自分で仕事をした手ごたえを、実感として感じられるのが、独立開業のいいところです。

じゃあ価値を生んだときに入力するかというと、そうではありません。

価値を生み、そのことについてお金がもらえる状態になったら、その日付で、売上を入力するのです。

一般的には納品日です。月に納品日が何度もある場合は、Excelで集計して、締め日や月末の日付で入力します。

ところで、最近はお米にせよ何にせよ、値上がりが続いています。

いま、かかえている商品が値上がりするのも、価値が高まったとはいえますが、まだ売っていない、他人に渡していないので、お金がもらえません。

仕事が仕上がるまでの間も価値は高まっていますが、完成しなければ売れないので、売上は入力しません。

生み出した価値を、お金と交換できる状態になったとき(納品・引渡・販売した)、その日付で入力します。

売上は所得税だけでなく、消費税とも関係がある

代金が後払いの場合、入金より早いタイミングで売上を入力するということです。

この場合、仕訳は 借方)売掛金 貸方)売上高 になります。会計ソフトによっては、収入・未決済として登録します。

お金をもらったときは、借方)普通預金 貸方)売掛金。

反対に、代金が前払いの場合、入金より後のタイミングで入力します。

お金をもらったときには売上高の代わりに前受金を使い、提供が完了したときに、 借方)前受金 貸方)売上高 とします。

現金と交換に商品をお客様に渡すときだけ、たまたま、入金と同時に売上を入力することになります。収入・完了とする会計ソフトもあります。

こういう、現金をもらうと同時に価値の提供が完了するのでない限り、入金日と売上の日付には、何の関係もありません。

入金日を操作して、粉飾や脱税ができないようになっているのです。

それなのに現金をもらった日で売上を入力していると、いろいろなところに影響が出てきます。

もちろん、事業所得(所得税)も正しい金額ではないですが、消費税も変わってきます。

消費税は、2年前の売上高が1000万円超か以下かで、その後の納税額が大きく変わってきますが、それも、価値を提供した日で1年分を集計して、1000万円の安定をするのです。

1000万円前後の売上の方だと、消費税の納税が必要な年がずれてしまう恐れもあります。

この規模の売上であれば、自己流ではなく、詳しい人に話を聞くべきタイミングです。予期せぬ納税が起こるリスクが高まっている状態です。

税理士は、会計ソフトの入力のしかたや税金の話がいくらでもできる人々です。

税理士とお話をしたことがないのであれば、何かの機会に話を聞いてみてはどうでしょうか。

編集後記

1日1新:税法(経過措置)の附則をイチから追う仕事。