取引先の手を煩わせないインボイス対応をしよう

インボイス制度が始まってみて、どんどん疑問が出てくる頃ではないでしょうか。

端数処理を変えたら、前と請求額が変わってしまった場合

「消費税の端数処理を商品ごとにやっていたのに、合計額から1回だけにしたら、いままでより金額が数円増えちゃった! 今までどおりじゃないとお客さんが混乱する! どうしよう?」

端数処理の回数を減らすと、税込金額が前より上がってしまいがちです。だったら、「端数値引き」で数円値引きして、インボイス開始前の税込合計金額と同額に調整したらいいのではないでしょうか。

少額の値引きなら、返還インボイス不要ですし、返還インボイスの様式を満たす必要なく、税込合計金額を調整できます。

お客様側の経理で、商品ごとに科目や税率を分けていると文句を言われるかもしれませんが、試しにそれをやってみて、何も言われなければ、続行しましょう。

シンプルな取引なら、税込金額が合っていればいいのです。

インボイス公表サイトを見ると登録しているのに、もらった領収書に登録番号がない場合

「登録番号がない領収書で経理しようとすると、『インボイスなし』の入力をしないといけない。でも、この会社ぜったい登録してるんだけどなー?」

インボイス保存という謎要件が付されているインボイス制度。公表サイトに番号があればOK、といかないのはなぜなんでしょう? インボイス保存は、インターネットがない時代に、課税事業者を確かめるためのもので、現代では不要な要件に思うのですが。

とは言っても、登録番号を勝手に追記してはいけないことになっています。

最初のうちはしかたないです。仕入れ先に「領収書に登録番号がないのですが、インボイスはどれですか?」と聞いてみましょう。

登録事業者からもらった書類に登録番号がない場合、回答としては、以下が考えられます。

  • もともとそれ、消費税がかからないんです。→消費税は対象外で処理してOK
  • 領収書がインボイスじゃなくて、請求書がインボイスなんです。→請求書が届いていれば、「インボイスあり」で入力してOK
  • ごめんなさい、間違ってました。→取引先に再発行してもらってもいいのですが、お互いに手間です。こっちで、「今回の購入について、貴社の登録番号はT〇〇で(など不足事項記載)、いいですよね? ご確認いただけますか? 次回の領収書から番号を入れていただけますか?」とメールするので十分です。領収書と、不足事項を伝えるメールとを合わせてインボイスになるからです。

今は移行期間。最初はちょっと大変かもしれませんが、なるべく自社内だけで対応できる方法で、不備をクリアしていきましょう。

今日のセミナー…税理士業務に関するセミナーと、消費税の研修を受講。いずれもWebでした。税理士は、勉強することで体力が回復する不思議な種族です。