複式簿記の始め方

商業高校を出ているとか、簿記部出身とか、センター試験の数学を簿記で突破したとかでなければ、複式簿記のことなんて、知らないものです。

簿記や会計に関する本

気の利いた勤め先であれば、新入社員に日商簿記3級を受けさせてくれるところもあったりします。私もそれで2003年の春に3級に合格しました。

ほんとうは昔風に、商売を始める前に簿記のことを習っておくのがいいのですが、もう事業を始めてしまった人のために、最小限憶えておきたいことをまとめました。

簿記については、YouTubeでもお話しています。

簿記が難しいと感じるのは

簿記は、仕訳とか、総勘定元帳とか、勘定科目とか、合計残高試算表とか、損益計算書とか、貸借対照表とか、とにかく用語が多いです。

また、簿記の理屈・理論の世界もあって、説明を受けても難しく感じてしまいがちです。

実は、最初のうちは、意味を覚えよう、考えよう、理解しようとしないほうがいいです。

いちおう考える部分、理解する部分はあるのですが、それは、全体像を知ってから、あらためて理屈を学ぶのをおすすめします。(はじめて出会う会計学/有斐閣アルマ という本を推薦)

増えたら左の借方グループ(資産、費用)、増えたら右の貸方グループ(負債、純資産、収益)の勘定科目のリストだけは、最初に抑えておくのがコツです。

最初は考えなくていい、身体が覚えればいい、というスタンスで始めましょう。

仕訳は、まず資産から考える

最初に覚えておきたいのは、現金が増えたら、左(借方)に入力する、ということです。

現金商売で、商品を販売したら、まず、現金が増えますね。

現金は、価値があるものです。簿記の世界では「資産」といいます。価値があるものが増えたら、借方です。

すると残りは右(貸方)しかありません。残りの欄に、現金が増えた原因を入力します。

商品を販売したことを、簿記の世界では「売上(売上高)」というので、貸方は売上です。

現金という、価値があるモノが増えた。
その原因は、商品を販売したから。

これが、(借方)現金 (貸方)売上 という仕訳です。

仕訳は、借方・貸方のセットで憶えるのではなく、左・右、片側ずつ埋めていった結果としてできあがるものです。

左に入るか右に入るかは、最初に、価値があるモノから考えます。

売上入金で、価値があるものが増えたら、それ(現金)を先に借方に入力。

反対に、経費を現金で払い、価値のあるモノが減ったら、それ(現金)を先に貸方に入力します。

これが、左右を混同することを避けるコツです。

仕訳の日付について

仕訳の入力では、次に、日付が重要です。

さっきまでは、販売した日と、現金が入ってきた日がたまたま同じだったので、現金が入ってきた日付で入力しても、問題はありませんでした。

でも、正しくは、売上なら「販売した日」、経費なら「サービスを受けた日」で入力するのです。

売上・経費の取引があった日の日付で入力するのが、簿記の基本です。

もちろん、毎日発生する現金売上や、ETC利用料金を毎日仕訳入力する必要はありません。

その場合は、Excelなどで集計して、1カ月分の合計額を月末の日付(その月で最後に売った、利用した日付)で入力すればよいです。

現金出納帳や、預金通帳を見ながら入力すると、売上や経費の日付を間違ってしまうことがあります。

お金が入ってくる前、お金が出ていく前に、取引時点で仕訳を入力する必要があったのです。

納品をしたが、その場で現金をもらわなかった場合、現金の代わりの価値のあるモノ「売掛金」が増えますので、これを借方に入力。

仕事した! お金もらった! で増えるのが現金。
仕事した! お金もらえる! で増えるのが売掛金。

  • お金(現金、普通預金など)
  • あとでお金が入ってくるもの(売掛金、未収金、立替金など)
  • お金が形を変えた別の価値あるモノ(器具備品、車両運搬具など)

これらのものを資産といい、資産が増えたら借方(左)に入力します。
反対に、資産が減ったら貸方(右)に入力。

その後は、その増えた/減った原因を、反対側に入力すれば、借方・貸方は埋まります。

会計ソフトは導入したけど、そもそも入力の仕方が分からない! という方のご相談にも、単発相談で応じています。

あまりにも知識がないとお考えの方は、いったん、記帳代行(税理士に入力してもらう)でピンチを乗り切っていただき、その間に学んだほうがよいかと思います。

正しく入力できれば税金もムダに払うことはないし、税理士に払う記帳代行料も抑えられ、トクしますので。

編集後記

1日1新:ケンコー LEDライト KL-01RL
Steam Deck用のmicroSDカードを買いました。餓狼伝説 City of the Wolvesには60GB以上の容量がいるので、本体内蔵64GBでは足りないので……。
帰宅後は、お客様とメールのやりとり。