ダニエル・カーネマンが亡くなりました。20年以上前、他の人がその業績を紹介した『人はなぜお金で失敗するのか』(日経ビジネス人文庫)を読んで、行動経済学って面白いなーと思いました。
その本、いまは持っていませんが、覚えていることが2つあります。
- 株の売却損が出たら、必ず確定申告しろ
- 確定拠出型年金には満額かけろ
翻訳書なので、アメリカの税制を前提にした内容でしたが、この2原則は日本でもあてはまります。(iDeCoはアメリカの401Kという制度を参考にして作ったので)
今年、上場株の売却損が出たら確定申告する
特定口座(源泉徴収あり)で株式投資をしている方は、売却損が出た年は、カーネマンのいうとおり、必ず確定申告しましょう。
厳密にいうと、今年の売却損≧今年の利子配当・他の特定口座の売却益 の場合です。つまりトータルでマイナスの場合。
そのマイナスは、来年の利子配当・売却益からも相殺できるからです。
相殺後にまだマイナスが残るのであれば、そのマイナスを繰り越す申告をすれば、マイナスが出た年の3年後まで持ち越せます。
過去のマイナスで今年のプラスを相殺しきれても、所得税が増えるリスク
会社員や公務員ではない、個人事業主(家族を扶養している方)の方を前提とします。
今年の売買・配当等の収支のプラス<去年から持ち越したマイナス の場合は、注意です。
確かに、今年プラスだったのが0円になりますので、特定口座で源泉徴収された税金は返ってきます。
一方で、税金が増える場合もあります。上場株取引のプラス(去年のマイナス相殺前)を確定申告すると、「合計所得金額」が増え、各種の所得制限に引っかかる可能性が出てくるからです。
去年のマイナスは、この所得制限の判定に使う「合計所得金額」からは引けません。
これまで、何らかの税の緩和・優遇措置を受けていて、所得制限を突破しそうな所得の方は、注意が必要です。以下、合計所得金額にもとづく所得制限(控除を受けられる上限)の概要です。
- 勤労学生控除 75万円
- ひとり親控除・寡婦控除 500万円
- 配偶者控除・配偶者特別控除 1,000万円
- 定額減税 1,805万円(2024年分限り)
- 住宅取得資金の贈与 2,000万円
- 基礎控除 2,400万円
- 住宅ローン控除 1,000万円~3,000万円
さらに、65歳以上の方は、2024年4月から、合計所得金額≧420万円で介護保険料が増加しますので、ご自分の所得水準を把握しておきましょう。
過去のマイナスを相殺してもプラスが残るなら、国民健康保険料が増えるリスク
3年前までのマイナスを相殺しても収支がプラスだった場合、相殺により天引きされた税金は戻ってきます。
が、先ほどのお話と同じで、所得制限に引っかかるリスクが出てきます。
さらに、国民健康保険料が増える可能性があります。相殺後の所得「総所得金額等」が増えているためです。
そこで、まずは確定申告書を作ってみて、戻ってくる税金を確認する。
戻ってくる税金>増える国民健康保険料 であれば、トクするので、確定申告します。
反対に、戻ってくる税金<増える国民健康保険料 であれば、ソンするので、確定申告しないほうがよいです。
確定申告で増える国民健康保険料のめやすは、「過去のマイナス相殺後のプラス収支×15%」です(現役世代の場合)。
会社員・公務員と違って、個人事業主は、確定申告による社会保険料増加のリスクが高いので、守備力上げていきましょう。
今日の花ごよみ
- ネクタリンのつぼみが膨らんできました。咲いたらInstagramにアップします