個人で独立開業する方が、初期投資にかかる資金の借入先として最初に相談する先は、日本政策金融公庫がおすすめです。
開業初年度は、資金的にピンチに陥りがちですが、借りるチャンスでもあります。
一度融資を受けておくと、次のピンチにスピーディに融資が受けられる可能性も高まります。じっさい、コロナ禍で助けられた会社を見てきました。
日本政策金融公庫をおすすめする理由
まだ実績のない個人事業主にお金を貸してくれる民間の金融機関は少ないです。
でも、国としては、新しい商売を始める人が増えて、経済が活性化することが望ましいわけです。
そこで、民間では貸しにくい創業者に融資する銀行として、日本政策金融公庫があります。
創業者に融資をするのは、日本公庫(正式な略称)の「ふつうの業務」なので、まずはこちらをおすすめします。
「日本公庫」は「国金」と呼ばれることもあります。これは、以前は「国民生活金融公庫」という名前だったからです。
他の2つの公庫と合併して、旧社名は「国民生活事業」という部門名で残っています。
開業する方がお世話になるのは、この日本公庫の国民生活事業です。
「新規開業に関する調査」を読もう
借入を検討する前に、日本公庫総合研究所の「新規開業実態調査」を一読しておきましょう。
新規開業に関する調査|日本政策金融公庫 (jfc.go.jp)
なぜか? 創業者の平均的な姿が見えてくるからです。例えば、
- 開業したときの平均年齢は?
- 開業するまで、その仕事を平均何年やっていたのか?
これは、日本公庫で借入をすることができた創業者に対する調査結果です。その意味では、借りられなかった方々より、ちょっといい数値であると考えられます。
それでも、自分を相対化するのに役立ちます。自分は創業者の中のどのあたりにいるのだろうかと。
開業する人は大勢いますが、開業にあたり借入をしたいとなると、その借入できた人の平均像に達しているか、超えている部分を見つけて、創業計画書でアピールしたいところです。
もし平均に達していなければ、準備段階で達しておくようにしておきましょう。
一番参考にしておきたいのが、「図-14」資金調達額(平均)です。
kaigyo_231130_1.pdf (jfc.go.jp) の10ページ
グラフの一番下が、2023年最新版です。
- 自己資金の割合をどのくらい持っていればいいのか
- 自己資金が足りない場合は、誰に頼めばいいのか
を知ることができます。グラフの数値をExcelに打ち直して、自己資金の「調達額合計」に占める割合を出してみましょう。
自己資金の割合が平均より低い方は、親族から借りられないか、検討しましょう。
また、自己資金比率が平均より低くて借りられている方も、当然いらっしゃいます。
そういう方は、配偶者が大企業勤め・正規の公務員であるなどの、本人以外の信用(お金を返してくれそうな情報)があったのかもしれません。
信用がプラスになる材料があれば、正直に出してみるのがおすすめです。
その他、「図-23 開業時に苦労したこと」などを読んでも、「みんな同じなんだな」と思えるかもしれませんね。
銀行にウソをついてしまわないために
今回は数値のお話をしましたが、実際には創業者その人自身、事業の内容そのもの、その他総合的な内容で融資できるかどうかの審査がなされます。
個人として、正直であるとみられることも重要です。
あたりまえですが、信用がマイナスになるような「身に覚え」について、ウソをつかないことです。
そうでなくても、信用情報にキズがついていることをお忘れになっていると、意図せずウソをついてしまうことがあります。
なぜウソかと分かるかというと、日本公庫の担当者の方も、融資申込者の信用情報をお持ちだからです。
不安な方は、500円(税込)でご自身の情報を確かめることができますので、一度情報開示手続きを取ってみることをおすすめします。
インターネットで開示する|情報開示とは|指定信用情報機関のCIC
私も、創業計画書のチェックやご相談に乗っております。
今日の利息
なんか、普通預金の利息が、以前の100倍くらいついていてびっくりしました。ニュースで知ってはいたものの……。ということは、銀行の借入れ利息も……。