非営利(NPO法人等)でも気をつけたい消費税の納税義務

非営利型法人は、収益事業にしか法人税はかかりません。

収益事業は法定の34業種なので、これらに該当しなければ、法人税は納めていない非営利組織も多いです。

地方税の均等割だけ払っているところもありますが、申請で免除される方法もあります。

納税はほぼしていない、という印象をお持ちかもしれませんが、消費税についてはどうでしょうか?

「非営利だから消費税も納めない」は勘違い

「非営利なので消費税も非課税」と思っている方が意外に多いです。

一見そんな気もしますが、よく考えると違います。

例えば水道局。だいたい市営とかですが、「市町村」は、もちろん非営利団体です。

でも、水道代を払うと、「消費税は課税仕入れ」になります。

反対側の水道局では、消費税の課税売上として、国に消費税を納税しているのです。

税金で運営されている組織が、税金を払っているなんて、不思議な感じがしますが、そうなのです。

インボイスの登録番号も持っていますし、水道局は。

例えば、仙台市では、ガスは東京ガスではなく、仙台市ガス局から購入します。

もちろん、仙台市から買っても、東京ガスから買っても、課税仕入れです。

非営利の仙台市からガスを買ったら、買い手の企業が消費税を引けないとなったら、困ってしまいますね。

買い手が困らないために、ガス会社から買おうと、自治体から買おうと、ガス代に消費税は課税されているのです。

対価性がある、明白な対価関係とはどういうことか

払ったお金に、対価性があると、消費税は課税されます。

そこで、提供者が営利か非営利かは関係ありません。対価性があるかどうかです。

なので、認定特定非営利活動法人や、一般社団法人(非営利型法人)の事務局をされている方は、気を付けていただきたいのです。

お客様がお金を払うのは、ガスを買う(使う)ためですよね。こういうのが対価性があるといいます。

対価性のあるものは、2倍払えば、2倍もらえます。ボリュームディスカウントがあったとしても、多く払えば多くもらえる。

提供者側の立場なら、多くもらえるなら、それに比例して多く提供することになっているもの。

言い換えると、お金をいただくことになった原因が、

  • 価値のある資産を渡すから
  • 事務所や駐車場などを貸すから
  • 飲食や交流の機会を提供するから

といった場合に、そのお金が「対価」となります。

こういった対価としての収入が、1千万円超になった事業年度の翌々期から、消費税を納める必要があります。

対価性がないものを除きつつ、非収益事業の対価性があるものも含める

ただ、収益事業・非収益事業の区別に関わらず、対価性のない収入はあります。

有料で、何等かの証明書を交付するという場合。その証明書はモノですが、価値のある資産とはいえないので、対価性がないといえるケースもあります。

課税の対象外となるような収入は、たとえ収益事業の中にあっても、除きましょう。

また、法人税のかからない非収益事業の中にも、課税仕入れとなるものがあります。それは、一般課税の場合、消費税の納税を減らす効果があるので、消費税申告上、含める必要があります。

特定NPO法人の多くは簡易課税が使える規模でしょうから、少額の課税仕入れはそれほど気にする必要はありません。

ただ非営利の事業が伸びてきて、1千万円を超えてきた場合には、その収入の対価性の有無をチェックしてみることをおすすめします。

編集後記

立教大学寄附講座で、学生からのレスポンスが55件戻ってきたので、質問に回答を付けて、次に講義していただく税理士に渡しました。