年明け、1月31日は償却資産の申告期限です。
償却資産を所有していると、それに固定資産税(俗に償却資産税といったりもします)がかかる場合があります。
先日、質問されたのでまとめてみました。
償却資産が150万円未満なら固定資産税はかからない
事業者としては、その資産の取得価額や法定耐用年数などを記入して申告するだけです。納税はあとで行います。
その資産の価格に応じて、税金がかかるかかからないかは、市区町村が判断します。
市区町村(横浜市など政令指定都市の場合は、区単位)で、価格が150万円以上になると、固定資産税(償却資産)がかかります。
市区町村が判断する価格は、決算書上の減価償却資産の簿価とは一致しません。
償却資産の計算上は、すべて定率法で計算しますし、月割計算も半年単位で行うからです。圧縮記帳の影響もありませんし、簿価も取得価額の5%までしか下がりません。
事業者としては、申告するだけ。あとの計算は自治体におまかせです。
申告にあたっては、取得価額などが償却資産台帳と償却資産申告書とで一致していることを確認しましょう。
誰が申告するか
だれが申告するのか。基本的には、償却資産を所有している事業者です。
赤字の事業者は
今期、赤字だから所得税や法人税、かからないんだけど……という方も、事業に償却資産を利用していたら、申告する義務があります。
つまり、所得税や法人税を払わなくても、償却資産にかかる固定資産税だけは払うケースがあります。
非営利団体は
法人税の申告もしていないし、地方税均等割も免除されているんだけど……という非営利法人は、償却資産税がかからない場合が多いです。
宗教法人・学校法人・社会福祉法人などが、本来の事業に償却資産を使用している場合です。
法律上は単に非課税とされていますが、市区町村の条例で、「固定資産税(償却資産)非課税適用届出書」の提出が求められる場合があります。
【様式ダウンロード】固定資産税(償却資産)非課税適用届出書 様式 | 横浜市電子申請・届出システム
また、一般財団法人やNPO法人が社会福祉事業を行う場合には、県から非課税の証明を受ける必要がある場合がありますので、市区町村におたずねください。
割賦販売で償却資産を買った人は
高額な償却資産だと、割賦、分割払いで購入することもあるでしょう。
その場合、全額が支払われるまで、購入先が所有権を留保していることがあります。車でよくありますね。
この場合、償却資産税も、自動車税も、軽自動車税も、同じ取扱いです。
法律上の所有者はともかく、その償却資産を割賦購入した事業者が申告します。
償却資産を共有している人は
夫婦共有で不動産賃貸業をされている方で、償却資産を所有されている場合は、共有者の間で代表者を決めて、その人が共有者の住所氏名を備考欄に記載して申告します。
何を申告するか
減価償却中の有形固定資産を申告します。
ソフトウエアなどの無形固定資産・家屋・自動車・軽自動車・リース資産・土地などは、申告しません。
10万円未満の少額減価償却資産
10万円未満のもの、10万円以上だが1年以上使用できないので消耗品費として経費にしたものは、申告しません。
法人が銀行対策で資産計上・減価償却したものは申告します。(個人は10万円未満のものは減価償却できません)
20万円未満の一括償却資産
こちらも同様に、申告しません。
なので、償却資産税の課税を避けたければ、10万円未満は消耗品費、20万円未満は一括償却資産として3年で償却するのがおすすめです。
30万円未満の少額減価償却資産
法人税等の節税のために、20万円未満であっても30万円未満の特例をつかって経費にすることが多いですが、これは償却資産の申告に含めます。
リース資産(所有権移転外ファイナンス・リース)
貸し手が申告するので、借りている事業者はリース資産を含めません。
申告しないとどうなるか
どの税金でもそうですが、申告すべきなのにしないでいると、税務調査の対象になります。
また、自治体は、税務署に提出された申告書も見ることができますので、それと償却資産の申告内容とに差異がある場合は、問い合わせを受けることもありえます。
動物病院や遊戯施設など、多額の設備投資を行っている事業者で、申告した覚えがない場合、償却資産の保有状況について見直しが必要かもしれません。
調査の結果、申告すべきだったのに無申告だった場合、150万円以上にならないようにウソの申告をしていた場合は、ペナルティがあります。(無申告は10万円以下の過料(自治体の条例による)、虚偽申告は1年以下の懲役または50万円以下の罰金、+延滞金)
また、不足の納税額を一括で納付しなければなりません。
申告していれば、6月末・9月末・12月末(27日)・2月末の4回に分けて払えばよかったのですが。
ヒヤヒヤしたくない方は、調査の前に、自主的に期限後でも申告しましょう。
自治体から問い合わせがありますが、正規の税額を必要年数分払えば、、ペナルティを受けずに済むことがあります。税金は、基本的に正直者に優しいのです。
申告しなくていい場合
償却資産を持っていなければ、申告しなくていいのです。
20万円未満の備品しか買わず、すべて消耗品費や一括償却資産として処理しているとか、リースだけとかなら。
また、以前に償却資産の申告をしていて、それが免税点以下とされた場合には、あとから償却資産に関するハガキが来て、「所有状況に変更がない場合には申告を省略していいですよ」と言われる場合があります。
実際に、今年は追加で申告するものがなければ、ハガキが来た人は申告しなくていいです。
もし、買ったり売ったり処分したものがあれば、その旨を申告しましょう。
1月1日時点の所有状況について申告するため、年内に償却資産の増減がないか、確認しておくことをおすすめします。
編集後記
昨日は横浜商工会議所で金融審査会。夕方は散髪。