2026年以降のiDeCoの老齢一時金・小規模企業の共済金Aをもらう順番・間隔を考える

フリーランス・個人事業主には退職金(退職手当)というものはないのですが、小規模企業共済の共済金Aが、退職金替わりになります。

合わせて、iDeCoをかけていらっしゃる方も多いでしょう。これは、60歳以上になれば、同様に退職金としてまとまった額を受け取れます。

会社員の退職金と同様、フリーランスの退職金であるこれらも、税金は軽くなっています。

退職所得控除というものがあり、加入期間が長いほど、税金が軽減される仕組みになっています。

退職所得控除は、20年間は年40万円、それ以降は年70万円増加して、退職金収入から税金のかかる部分を減らす効果があります。(これも、いずれ改正されて、21年目からの割増がなくなるかもしれません)

小規模企業共済は、月額1,000円からでも早めに加入したほうがよいと言われるゆえんですね。

一時金や共済金Aは、退職金同様、一生に何度ももらえるものではありません。

また、もらったあとは、事業収入がなくなり、老後をそのお金で生活する必要があるからです。

共済金AとiDeCo一時金、どちらを先にもらうべきか

2025年までは、60歳で先にiDeCoの老齢給付金(一時金)をもらい、65歳以降に小規模企業共済の共済金Aをもらうと、税金が軽くなります。

5年空ける必要があるわけです。

一時金をもらって、4年以内に共済金Aをもらうと、共済金Aの税金が重くなります。

ただし、最初の一時金の額が、さきほどの退職所得控除を大きく下回る場合は、あとの共済金Aの税金は、それほど重くなりません。

反対に、先に共済金Aをもらってしまうと、iDeCoの一時金の税負担を小さくするためには、20年空ける必要があります。

なので、先にiDeCoの一時期をもらおう、というのが、来年までの話です。

税制改正で、空ける期間が5年から10年になる

ですが、2026年以降にもらう一時金から、この5年空けるべき、というのが10年に延びる改正が行われる可能性が高いです。

60歳でiDeCoの一時金をもらい、70歳で共済金Aをもらう。

10年間はiDeCoのお金で生活し、それが減ってきた頃に小規模企業共済の共済金をもらう。

70歳まで働いて、そこで廃業すると。会社員もいずれ70歳までの雇用が義務付けられるようになるので、それに合わせた感じでしょうか。

2回退職金をもらうつもりの方、掛金が多額で1回目の受給で退職所得控除の枠を使い切ってしまう予定の方は、気をつけたいところです。

5年ごとに多額の収入がある人に、税金をまける必要はない、ということでしょう。

資金繰り上は、一部を年金でもらうことを検討してもいい

10年はなかなか長いですね。

10年おきに一時金でもらう、というのができない可能性もあります。

その点、小規模企業共済は、年金のように分割受け取りもできます。

iDeCoも年金で受け取ることもできますし、一時金+年金という受け方もできます。

iDeCoの一時金の額は自分で決められます。そこで、退職所得控除額をなるべく大きく残すように一時金の額を減らして、残りを年金でもらう方法も考えられます。

1回目の退職金であるiDeCo一時金で退職所得控除を使い切らなければ、9年以内に2回目の退職金である共済金Aをもらったとしても、課税を抑えられます。

しかし、年金や退職金をもらう時期はだいぶ先になることが多いです。

それまでに、年金や退職金に関する税金が重くなる可能性もあるでしょう。

いわゆる節税策は、今のルールが変わらなければ……という条件つきのものです。

税金のルールはどんどん変わるので(特に、それが節税策として宣伝されればされるほど)、税制改正をご自分でウォッチするか、税理士から自分に合った情報提供を受けるようにするか、自分に合う方法で追跡していきましょう。

編集後記

休日は妻と子どもと恒例の図書館へ。暖房が効いていて、眠くなります……。