収入が10,000,000円くらいなると、消費税の納税義務が近づいてきます。
しかし、収入によっては、そもそも消費税がかからないものなので、それが多い場合には、1,000万円を超えないことも考えられます。
代表的なのが、預り金・仮受金として処理する収入です。
10-1-16(別途収受する配送料等) 事業者が、課税資産の譲渡等に係る相手先から、他の者に委託する配送等に係る料金を課税資産の譲渡の対価の額と明確に区分して収受し、当該料金を預り金又は仮受金等として処理している場合の、当該料金は、当該事業者における課税資産の譲渡等の対価の額に含めないものとして差し支えない。
消費税法基本通達
預り金とは何か
『消費税法基本通達逐条解説 令和6年度版』によれば、上の通達(実務上のルール)が適用できるのは、以下のような場合です。
- 自分自身では、その収入によって販売やサービス提供をせず
- 外注先に対して、代理で払っているだけ
- 会計ソフト上も、預り金勘定を使っており、対価と明確に区分されている
そもそも、預り金勘定とは何でしょうか。
『簿記I 第5版』によれば、「何等かの理由で金銭を一時的に預かった場合」に用いるのが預り金勘定です。
立替金と対になっていると考えます。先に払えば立替金で、先に受け取れば預り金です。
自分がもらうべきものでないものをもらっている。
通達や逐条解説を見ると、「対価と明確に区分した経理処理」であることが重要と考えられます。
対価と明確に区分されているとは何か
一言でいうと、預り金として区分するためには、「余ったら、預けた人に返す約束になっており、実際にそうしている」という実態が必要です。
対価と区分されているから、余り(差額)がいくらかわかるし、もらいすぎた差額があれば、ちゃんと返金している。それが預り金です。
本来は、お客様が直接その人に払うべきだという場合、間に入った人は、預かっただけ、そのお金を100%通過させるだけの存在なので、間に入った人に消費税はかかりません。
自分自身が、送金の代行をしているだけといえるかがポイントです。
支払ったお客様からインボイスを求められたら、送金の代行をした自分がインボイスを出すのではなく、外注先の請求書をもとに、立替金精算書を提供することになります。
立替金精算書をインボイス対応するには – 税理士 木村将秀のブログ
預り金として認められなかった事例は
争いになると多くの場合、預り金と主張しても、対価=消費税のかかる収入として判断されています。そのポイントは、次のようなものです。
- 返金している事実がない
- 規約に預り金とする旨の条文がない
- 預り金勘定を使っていない
- その収入に対応する仕事そのものを、自分自身で行っている
- 契約上、自分が外注先等の相手方になっている
- その税金の特別徴収義務が自分にない
- 預り金と対価とを区別する書類を作成していない
お客様からもらった金額=外注先に払った金額 という関係になっていない場合は、預り金経理は誤りかもしれません。
送金後に、預り金勘定に残高が残り、それを雑収入に振り替えているようだと、預り金と主張するのは厳しくなってきます。
業務上、こういった収入が多い場合は、それが対価か、預り金か、その収入や支払が発生した事情に即して、はっきりさせておくことをおすすめします。
編集後記
Blueskyのアプリを入れてみた。
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