書類を整えて、税金を減らそうとするのは、おすすめできません。
3つ、形式を整えてもダメなパターンを紹介します。

贈与契約書を作ればいいのか
親の財産を、子に贈与で移せば、親の財産が減るから、相続税が減る。
と聞いて、親から子や孫への贈与契約書を作った。何なら親が小さい子の代理で契約書にサインまでした。
その後、相続開始後税務調査があって、「そうですか、贈与契約書があるんですね。じゃあ贈与と認めます」となるかどうか。
それだけでは、ならないでしょうね。
どういう理由で贈与したのか、もらった子は喜んでいたのか、子はそのお金を何に使ったのか。
そういった、実質が伴っていて、初めて贈与になります。
相続税の調査は、申告してから2年ほどは、行われる可能性があります。
2年間もヒヤヒヤしないで済むよう、形式だけ整える税金対策は控えたいものです。
金銭消費貸借契約書を作ればいいのか
親にお金を貸せば、親は債務があるので、相続税が減る。
と聞いて、親にお金を貸して、金銭消費貸借契約書を作った。
「そうですか、親は子からお金を借りていたので、債務控除はOKです」となるかどうか。
けっこうリスクがあると思いますね。
親は、子に定期的にお金を返していたのか。
相続税対策でなくても、所得税や法人税の場面でも、お金を返している実質があって、初めて借りたことになります。
借入収入は税金のかからない収入、だからこそ、本当に借入であることが証明できるようにしたいものです。
その証明になるのは、契約書だけではありません。お金を返すことです。
住民票を移せばいいのか
住宅ローン控除を受けるため、居住用不動産の3000万円控除を受けるためには、住んでいることが必要です。
じゃあ住民票を移して、住んでいることにすればいいのか。
ダメです。
住んでいることの証明は、住民票では行われません。考慮はされますが。
そこに住んでいるなら、電気代・ガス代・水道代を払っていて、近所の人と顔見知りになっていますよね。
それを調査では確認されます。
住んでいることの偽装のため、電気代・水道代を払っていたが、「ガス代を払い忘れていた」ことで、住んでいないことがばれた事例があります。
火をつけるのはぶっそうだから、つけなかったのでしょうね。
こういうのは、やめましょう。
編集後記
先週に引き続き、譲渡所得のお客様を訪問して、資料をお預かりしました。
あとは事業所得のお客様にまとめて質問のメール。
ちなみに贈与税の確定申告期限も、所得税と同じ3月15日(2025年は土日の関係で17日)です。

1980年生まれ。木村将秀税理士事務所・代表。主にフリーランス・独立間もない個人事業主・法人設立を検討中の方のサポートをしている。自分で経理・申告したい/顧問税理士をつけたい/記帳代行を依頼したい に対応。特技はウォーキング(最長は戸塚~小田原間 45km 14時間)、趣味はジャズ喫茶巡り・村上春樹の本・SNK対戦型格闘ゲーム。プロフィール詳細