会計ソフト移行時にやっておくべきこと(固定資産台帳の扱い)

会計ソフトの移行時は、進行期(今期、いまの年度)の前期、前々期のデータを持っておくと便利です。

会計ソフトで、今期の数字と過去の数字を比べて、調子いい/悪い の判断に使えるのはもちろんです。

それに加えて、さまざまな税務上の判定で、前々期の売上高(すべて課税売上を前提)を使うことがありますので。

あの世とこの世との移行に使う乗り物(精霊馬)

前々期の売上高を使う税務上の判定

個人(副業)の場合

前々期、2年前の副業の売上高が300万円以下であれば、雑所得について現金主義が使えます。

2年前の副業の売上高が300万円超だと、請求書等の保存が必要になります。

2年前の副業の売上高が1000万円超だと、雑所得の申告であっても、白色申告の事業者と同等の「収支内訳書」を確定申告書につける必要があります。
(1000万円以下なら、雑所得の申告は、収入の合計額と必要経費の合計額だけを申告すればよかったのですが)

もちろん、消費税の申告も今年から必要になります。

個人、法人共通

前々期の売上高が1000万円超であれば、インボイス登録をしていなくても、消費税を納税する必要があります。
さらに、前期まで免税事業者であったとしても、2割特例を使うことはできません。

この場合、消費税の申告書などに2年前の売上高を書くことが多いです。

前々期の売上高が5000万円超であれば、選択届出をしてあったとしても、簡易課税が使えなくなります。
仕入先のインボイス有無を気にする必要が出ていきます。

2年前の売上高が大きいと、電子取引のデータ保存の要件緩和措置も受けられなくなるのです。

そのため、会計ソフト移行時には、2年前のデータから取り込むことをおすすめしています。
この場合、開始年度を2年前の期からスタートさせます。

会計ソフト移行のための記事は、直近でも書いています。

固定資産台帳の移行についての注意点

新しい会計ソフトには、仕訳のほか、固定資産台帳のデータも移す必要があります。

ただ、この固定資産台帳の入力に注意が必要です。

会計ソフトは、固定資産台帳に入力した年度から、自動的に減価償却費を計上することが多いです。

そのため、古い会計ソフトの、2年前の年度から固定資産台帳のデータを移してしまうと、インポートした減価償却費の仕訳と、固定資産台帳から自動計上される減価償却費のデータがダブってしまいます。

古い会計ソフトの仕訳をすべて取り込むのであれば、固定資産台帳への入力はしないでおきましょう。

直前期までのすべてのデータをインポートして、数値が古い会計ソフトと一致していることを確認して、年度締め(年度更新)して今期の状態になってから、固定資産台帳を入力します。

期首の帳簿価額に、前期末の未償却残高を入力する……などの転記を行います。

会計ソフトに過去データを移行したらやっておくべきこと

さきほどの減価償却費が二重計上される問題も、入力後の前々期・前期の数値が、古い会計ソフトの数値(決算整理後)と同じであることをチェックしておけば、防げます。

2期前・1期前のデータと、2期前・1期前の決算書との突き合わせはやっておくべきです。

また、古い会計ソフトから、過去の年度の決算書・総勘定元帳・申告書を出力しておき、保管しておきましょう。

税務調査では通常3年分の総勘定元帳などを確認されますので、すぐに出せるようにしておくのです。
(問題があれば5年分、不正があれば7年分)

給与システム・固定資産台帳なども、新しい会計ソフトに引き継ぐためのデータを出力します。

データを全部出力したら、古い会計ソフトが月額利用料制の場合、解約を忘れずに。
ムダな料金を払わないようにしたいものです。

利用料を年払いしていた場合は、お金は戻ってきませんが……。
もし前払の残額がかなりあるようでしたら、会計ソフト移行のタイミングを遅らせましょう。

近況報告

法人の単発代行の結果報告後、相続税の単発代行の仕事をしつつ、合間にオンラインセミナーを受講しました。

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