税込経理を怖がる

消費税を納める規模の売上はなかったが、お客様との関係上、インボイスに登録した。

という方の場合、おすすめなのは税込経理です。

税抜経理と選べますが、2割特例・簡易課税で消費税の計算をする場合、税抜経理のメリットは薄いです。

税抜経理なら、10万円未満・20万円未満・30万円未満の判定で消費税を入れずに済むので経費が多くなるといいますが、もし経費にならず固定資産に計上されても、最終的に経費になる額は同じですから。

それよりは、経理の手間が減る、損益計算書とキャッシュフローの感覚のズレとが小さくなるメリットを取ってみましょう。

横浜中税務署の看板

2023年にインボイス登録した。払った消費税をどうした?

インボイス制度がはじまってすぐに登録して、次の決算で消費税を税務署に払うのが2回目という場合。

すでに1回、消費税を払ってますよね。

きちんと、「租税公課」で経費にしたでしょうか。

事業税や固定資産税と同じように、税込経理における消費税は、経費になる税金です。

経費にならない科目で処理していないか、チェックしましょう。

  • 前回の決算時に、租税公課/未払消費税 の仕訳 または
  • 今期の途中で、租税公課/普通預金 の仕訳

どちらかで経費にしているのが正しいです。

前期の決算で未払消費税を計上したときは、今期の途中で負債の部に残高が残っていないか、確認しましょう。

工事費の按分計算でも、消費税が按分対象になる

店舗の改装工事をした時の経理は、けっこう大変です。

工事ごとに、共通費用を配分する必要があるからです。(これはけっこう大変なので、このときだけでも税理士に単発相談してくれてもよいです)

  • 出精値引き
  • 差額値引き
  • 仮設工事
  • 法定福利費
  • 諸経費
  • 養生費
  • 現場管理費

といったものですね。

税込経理の方は、これに消費税の額も共通費用として、共通費用の合計額×個別の費用÷個別の費用の合計額 で按分する必要があります。

按分した結果、ひとつの工事が30万円未満かどうかで、少額減価償却資産として経費にできるかできないか、が決まってきますので。

税込経理でも、税抜金額を意識するとき

申告書ソフトを使えば、まず間違いはないのですが、初めての2割特例申告では、手書きの申告書で消費税を計算する方もいらっしゃいます。

この際、最初の課税標準額の計算のところ、課税売上を税抜するのを忘れないようにしてください。

税込売上の10%の2割を納税額として計算してしまうと、納めすぎです。

税込経理では、あまり税抜金額のことを気にしないので、申告書作成時だけ、税抜売上を意識しましょう。

請求書作成ソフト(または、会計ソフトに組み込まれた請求書作成機能)でも、税抜料金を入れると税込にしてくれる「外税」モードになっているときは、税込経理でも、税抜金額を入れる必要があります。

税込経理なら、「内税」モードにして、税込料金を入れれば請求書上に税額が自動計算されるほうが、ミスを減らせます。

売上が増えてきて、簡易課税も使えなくなってきたら、税抜経理への移行を考えればよいです。

税抜経理への移行直後は、決算書の前年比が見づらくなりますけどね……。

編集後記

単発相談の仕事で外出。その後、メール相談のご依頼がホームページ経由でありました。確定申告シーズンだなあと思います。