開業届の控えをなくしてしまったら、開示請求する

独立開業したら、開業届を出す。ということはご存じの方が多いです。

ただ、このことは有名すぎて、かえって誤解を生んでいることもあるようです。

独立するときに、最初から法人を設立するのでしたら、いりません。

開業届は、あくまで個人事業主を始めるときのもので、法人を設立した場合は、法人設立届出書(税務署・県税・市税宛て)を出します。

個人であれ、法人であれ、開業したら、これらの届出書と同時に「青色申告承認申請書」を提出します。

青色申告は、個人だけのもの、とお考えの方も多いのですが、法人にも青色申告はあります。

開業届の書式

開業届の控えがないと、困ることがある

個人で、開業届(正式には、個人事業の開業・廃業等届出書)を紙で提出する場合、受付印のある控えを返してもらえないことがあるようです。

開業届は、税金的には、提出以降、事業所得用の確定申告書一式が送られてくるようになるという意味合いしかありません。

提出期限は、開業から1カ月以内ですが、過ぎてしまっても問題はありません。

不動産賃貸業の方も、賃貸を始めてから1カ月以内に出すことになっていますが、実際に提出している方は少ないのでは……と思います。罰則もないですし。

ただ、個人事業主の場合で、開業初年度から「小規模企業共済」 (おすすめの節税策です)に加入したいとなったとき、開業届がないと、困ることになります。

加入資格があることを証明するための書類として、開業届が要求されるからです。(いったん事業所得で確定申告したあとならば、開業届がなくても大丈夫ですが……)

その他、さまざまな場面で開業届が求められることがあり、紙の控えが手元にないと、困る場面があるのです。

紙で出していた場合は、開示請求の手続きをする

開業届は税務署に出してしまって、手元にないという場合。

控除証明書のように、再発行してもらうことはできません。

税務署に開示請求の手続きをすることになります。

開示請求等の手続|国税庁

保有個人情報の開示の実施方法等申出書を提出します。

その際、手数料が300円かかります。「写しの交付」、「全部」に〇を付けます。

開示決定が出ましたら、その通知書に、写しを郵送してもらうために必要な郵便切手の額が通知されますので、それを送ることで、自分の出した開業届のコピーを入手することができます。

ちょっと、大変ですよね。

お役所の書面の手続きは、税理士である私も正直苦手です。

開業届は、e-Taxで出そう

こういった問題も、開業と同時にe-Taxの利用開始手続きをし、e-Taxソフトで開業届を提出することで、回避できます。

e-Taxソフトの画面

e-Taxソフトは、WEB版とダウンロード版がありますが、ここで使うのはダウンロード版です。

開業届をe-Taxで送信すれば、その後、いつでもメッセージボックスから帳票表示で内容をPDF出力できます。

税務署に提出した事実も、その受信通知をPDF出力することで、受付印の代わりになります。

小規模企業共済などで、開業届を求められたら、この開業届の帳票表示と受信通知のPDFファイルを添付すればよいことになります。

税務署に、出した/出していない の問題を避けるためにも、提出書類はすべてe-Taxを通して行うようにしましょう。

税務署も、もう控えに収受印を押して、返信用封筒に控えを郵送する事務を行わなくなっているからです。

編集後記

関内で業務委託の仕事を終えて、その後はゲーセンミカド高田馬場店で斬サムでもやりに行こうかと。