重加算税 嘘と隠しごとは、トータルで損に

昔、別の業界で調査の仕事をしていました。

一般的にいって、どんな業界でも、調査員は事実に迫れなくて、悩むものです。
調査される側の気持ちになれば、ガードが固くなるのも理解はできます。

その点、税金の世界では、嘘と隠しごとをした側が損する仕組みがあり、イチ民間の調査員として、うらやましく思ったものです。
もちろん、嘘と証明するのは楽ではないでしょうが、税務調査は国家組織が行う強みがあります。

法人税について、嘘や隠しごとをしてしまうと、どのくらい損をしてしまうのでしょうか?

藪の中で見つかる現金とは

800万円の利益が出たら、本来の税金は

800万円の利益(厳密には、法人の所得)が出ると、法人税などは合わせて196万円ほど。

利益に対する割合は、32.5%ほどです(横浜市に本社がある場合。利益の額に応じて割合は変わる)。

法人税の税率は15%(800万円まで。)ですが、地方法人税、法人県民税、法人市民税、法人事業税、地方法人特別税なども併せてかかるため、それなりの割合になります。
(2026年4月以降の年度は防衛特別法人税がかかりますが、この利益だと、結果的に追加の納税は0円です)

仮に利益が400万円だったら、税金は97万円(32.0%)ほどに下がります。

嘘をついて400万円の利益にした場合

仮に、悪い社長がいて、社長が直接現金で集金していた売上を隠して、利益400万円で申告すると、約100万円納税しなかったことになります。

しかし、お金の世界はよくできているもので、収入があったら、貯金するか、使うかしかありません。

つまり、どこかに必ず収入があった痕跡が残るものです。
現金が床下から見つかるとか、ないはずのお金で高い買い物をしているとかといった形で。

嘘には、金額を直接いじることに限らず、例えば1人当たり接待飲食費を1万円以下にするために、人数を水増しする行為、税額控除のための証明書の偽造といった行為も含まれます。

嘘や、隠していることが税務調査でバレた場合、本来の税金196万円になるように、追加で約100万円の税金を払います。
さらに、重加算税という付帯税が追加でかかります。

追加の税金100万円×35%で、約35万円(法人税、事業税合わせ、ざっくり)。さらに延滞税(遅れて払ったことに対する利子相当)も。

嘘や隠しごとは、結局、ものすごく高い金利で納税資金を借りているのと同じです。

そんなに利益が出ていれば、金融機関から通常の金利で融資を受けられたはず。
借入を嫌わずに、選択肢に含めていれば……と思います。

長年仮装・隠ぺいを続けていると、これを最大、過去7年分、余計に払うことになります。
1回で数年分の税金を払うのが、資金繰り上厳しいのは想像がつきませんか。

なお、一回重加算税を受けて、また5年以内に重加算税がかかったときは、税率が45%にアップ。
電子取引とスキャナ保存のデータを改ざんしたときも、その部分の税率は45%に割増されます。

多額の税金も、前もって知っておけば、まだまし

事業を行っている以上、お金を増やすことが目的のはず。
(オーナー社長の場合は、会社の利益はトントンでも、役員報酬さえ取れていれば、社長個人はトクしていることにはなりますが)

合理的に考えれば、入りを増やし、出を減らすほかはありません。

嘘や隠しごとは、バレるまでは出が減っても、長い目で見れば出を増やすことになります。
負債のようなものです。

事実を曲げずに申告することが、最小の税金を払うことにつながり、お金を増やす第一歩。

とはいえ、一度は入ってきたものですし、200万円近い税金を払うのも気が重い。

ここを少しでも軽く感じていただくには、今期の納税額を早めに知っておくことが必要であると思います。

半期過ぎたあたりで利益予測・納税予測をし、納期限(決算から原則2カ月)にいくら払う、と資金繰り上、予定しておいていただく。
予定した日が来たら、予定どおりに払う(もちろん、決算が終わってみれば税額は動きますが)。

そういった凪のような気持ちに近づいていただければ、との思いでサポートをしています。

近況報告

子どもの事業参観に。先生の教える仕事を見るのは面白いです。まずたくさん子どもに話をさせて、その言葉をもとに方向性を組み立てていくのだなと。

1日1新:戸塚 亜煉路館 ココアフロート