【マンション節税】最高裁令和4年4月19日判決が、数値基準を示さなかったことの意味を考える

最高裁令和4年4月19日判決の全文が出ました。実務に使える判断基準が示されなかったことに、実務家からは「期待外れ」との声も聞かれますが、最高裁判事の気持ちもわかります。

本件各通達評価額と本件各鑑定評価額との間には大きなかい離があるということができるものの、このことをもって上記事情があるということはできない。

相続税更正処分等取消請求事件 最高裁令和4年4月19日判決

本件の乖離は4倍差でしたが、4倍だからダメだとは言いませんでした。「数値基準を示すと、お前らぜったいくぐってくるだろ」と考えているのだと思います。

国税庁も、賦課決定処分のときは4倍差を課税の理由としていたのに、審査請求の時点から、節税目的の取引があったことを路線価方式で評価しない「事情」と主張を変えてきました。裁決事例として表に理由が出るときに数値基準があると、数字が独り歩きするのでよくない、と考えたのではないでしょうか。

この判決文から、関根稔先生がいうところの「税法的な倫理観」を学びなさい、というメッセージを受け止めましたね、私は。条文や評価通達だけで判断するのではなく。