「文化的雪かき」とは

初期の村上春樹作品でよく出てくるこのワード。比喩なんですが、意味はあまり説明されていません。野暮ですが、説明を試みてみます。

まず「雪かき」。雪って白いですよね。雪かきをしたことがある人は分かると思いますが、スコップで雪かきすると、底が黒くなります。

雑誌の紙って白いですよね。雑誌に何の記事もかかなければ、ページは雪と同じに白いままです。でも何か文字をかきいれると、そこが黒くなります。

雑誌は、「文化的」なものですよね。それで、「文化的雪かき」ということになります。雪が降れば、誰かが雪かきをしなければならない。ページに空白があれば、誰かが文章を書かなければならない。その「仕方がなさ」を言葉にした、素敵な村上春樹用語だと思います。

売れる前の村上春樹は、作家デビュー後も複数のペンネームを使って雑誌記事を書いていました。なので、初期の作品にしか、こういう貧乏っぽい言い回しが出てこないんですねー。