『いつも「時間がない」あなたに──欠乏の行動経済学』

いつも「時間がない」あなたに』は、いかにも時間術のビジネス書みたいですが、お金と時間との両方の欠乏がテーマです。

心配ごとがあるときは仕事の能率も落ちる等、何となく実感していることが、実験でも確かめられていることを紹介し、そこから、どう考えればよいかの提案があります。

ハウツー本ではありませんが、知見も得られます。VDP作業(昭和めいたIT用語。パソコン作業)をする場合、およそ20分に一度、約20秒ディスプレイを見ずに、20フィート(6mほど)先を見て目を休めるといいそうです。(20-20-20ルールといいます)

週60時間労働を数週間続けると、週40時間労働と同じ生産性になるとか。想定外の割込みが想定される仕事なら、常に時間の空き(slack)を作っておくとか。時間があっても、処理能力が落ちるときに大事な仕事をしようとしていないかとか。処理能力の波も想定せよ、という本です。

2017、早川書房