20歳以上の子どもの国民年金保険料 親が払うか、学生納付特例を使うか

自分の子どもが20歳になったら、子どもに国民年金保険料の納付義務が発生します。

その額、1年間前納の場合、203,760円(2024年度)。

子どもが学生で収入がなければ、そもそも本人には払えませんし、バイトをしていたとしても、20万円は大金です。

納付書が届いてから、ちょっと悩むことになります。

学生納付特例制度を利用する方法

そこで、学生納付特例制度というものがあり、学生である期間については、保険料の支払いが猶予されます。(マイナポータルで手続きが必要です)

学生の所得制限がありますが、保護者の扶養に入れる範囲でバイト収入を調整していれば、利用できます。(最近の賃金上昇で、103万円以下で働くことが難しくなっていますが……)

就職してお給料をもらい始めてから、子どもが保険料を追納すれば、子どもが将来もらえる年金額に不利はなくなります。

ただ、それなりに収入のある親御さんの立場であれば、この特例を使うより、親が払ってあげたほうが、所得税の面では有利です。

(子どもの初任給から年末までの給与所得より、親御さんの所得のほうが大きいことを前提にしています)

(親が年20万円を払うのが厳しい、という場合に学生納付特例を利用するのがおすすめです)

子どもの国民年金保険料を親が払っても社会保険料控除が受けられる

ご自分の資金繰りに余裕があれば、子どもの国民年金保険料は払ってあげましょう。

子どもの保険料を払った人が、社会保険料控除という所得控除を受けられます。

家族の中で、所得が多い→税率の高い方の人が所得控除を受けるほうが、全体として節税になります。

これは、医療費控除についても同じです。領収書の宛名がご自分でなくてもOKです。

(ただし、生命保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・寄附金控除、配偶者の年金から天引きされる介護保険料は、宛名が違うとNGです)

親が前納する場合の注意点

ただし、子どもが大学4年生などで、4月から就職する予定がある場合は要注意です!

国民年金保険料の前納制度を使うと、ちょっと安くなります。また、親の社会保険料控除の額は、払った額になるので、税金もより減らせます。

が、前納すると、子どもが就職先で厚生年金に加入した期間と二重で払ってしまう場合があります。

その被ってしまった期間に対応する国民健康保険料は、しばらくしてから届く「国民年金保険料還付請求書」を提出することで還付されます。

その場合は、当初払った額-還付された額=社会保険料の額 になります。

当初払った額が、そのまま社会保険料控除の額にならないので注意です。

e-Taxで確定申告する場合、控除証明書や納付書の控え、還付の書類の添付は省略できますが、計算は間違えないようにしましょう。

還付にならないように、子どもが就職する直前の3月分までを払うほうが確定申告(年末調整)でミスしません。還付になるのに払うのももったいないですし、還付請求の手続きも手間ですので。

「生活費をいくら払っても税金は減らない」が原則。例外が所得控除

生活費を払える、消費ができるということは、所得がある(あった)ことの証明でしかありません。

親御さんご自身が個人事業主であるとか、フリーランスであったりする場合に、生活費が必要経費にならない理由です。

医療費控除。これは、Excelで集計しましょう。領収書を宛名・病院別に分けずとも、Excelにどんどん入れて、自動集計させましょう。(去年の分が混ざらないように注意)

これも家族で一番所得が高い人につけるのが通常、一家で税金が少なくなります。

なお、雑損控除が使えるような被災・盗難・横領による財産の減少は消費ではないので、所得がなくなったとして、所得控除が受けられます。

家族の分を払っても自分の所得控除にならないもの

  • 生命保険料控除証明書(10月上旬に届きます)
  • 地震保険料控除証明書(10月上旬に届きます)
  • 寄附金領収書(寄附先からは年明けに届くことも。被災地支援口座宛てのものは、ATM振込の控えでOK)
  • 小規模企業共済掛金控除証明書(11月下旬に届きます。10月以降加入者は来年2月)

これらは、医療費控除や社会保険料控除と違って、家族名義の分がご自分の所得控除になりません。

証明書の宛名(名義)ごとに分けておきます。

10月は税金の手続きが少ない時期です。確定申告に備えて、書類の整理を始めましょう。

編集後記

数年ぶりにAdobe Scanを試す。読み取りに時間がかかるのと、白飛びしがちなのは変わってないかな……。これまでは単純に写真に撮っていました。そのほうが速いので。