道具にお金をかけるかどうか/お金で時間を買うか

昔は、「電話と机さえあれば、出版社を始められる」といいました。

出版社は、著者は外注だし、印刷も製本も外注だし、倉庫も外注だし、卸売り・小売も外注できるからですね。

こういう仕事だと、道具にお金をかけるということはなさそうです。

「弘法筆を選ばず」というケース

私は、コーヒーをハンドドリップでつくるのが得意です。

その場合、豆や器具にまったくこだわりはありません。

豆(レギュラー・粉)はグラム1円台のものしか使わないし、ドリッパーは100円ショップ品だし、サーバーも無名メーカーのものです。

でも、技術さえあれば、おいしく入れられます。

弘法筆を選ばず。のとおり、書道家もそうでしょうね。

有名な書道家に、看板を一筆依頼すると、数万円はかかります。ちょっとした小品でも3万円はします。

でも書道家となれば、別段高い筆でなくても(高いに越したことはないでしょうが)、高い値段がつけられます。

技術一本で食べていく人は、意外と経費(道具代)がかからないものです。

最近話題になった、「無課金おじさん」のようなスタイルは、好ましく感じます。

税理士は、意外と道具代がかかる

出版社の例でいうと、税理士もパソコン1台と机があれば開業できます。

ただ、仕事で外注できる部分は限られるので、出版社というよりは、外注先の著者に近いものでしょう。

著者が長い時間をかけて作品を紡ぐように、税理士も自分の時間を投じて確定申告の代行などをします。

そういう場合は、道具にお金をかけたい。つまりパソコンや、その周辺機器ですね。

ふつうの中小企業のお客様にも、PC台は15万円以上出すことをおすすめしています。

10万円台前半のパソコンは、本当に動作が遅いからです。

特に、20万円台となると、起動が速いので、つど電源OFFにしても、毎回クリーンな状態でPCをすぐに使えます。

スリープ(スタンバイ)を繰り返すと、みるみる不安定化していくので、私は毎朝、起動させています。

結果的に時間の節約になるからですね。

時間が必要な人にこそ、サービスを提供したい

著者など、クリエーターのような人(主にフリーランスの方)は、パソコンである程度スピードを上げて仕事ができるようになってはいますが、いずれにしても時間が必要です。

出版社のように、すべて外注なら、外注先が動いている間に内部事務・バックヤード業務を行えばいいので時間はあるといえます。

しかし、自分より先に外注先がない人は、特に独立したばかりであると、いままで会社がやってくれた事務をすべて自分がやる必要があることに、驚かれると思います。

この事務の時間もとっておかないと、仕事ができない。やりたいことが、だんだん老後の楽しみになってしまう……。

そんな、勤めていたときと変わらない気持ちになっていたら、せっかくフリーランスになった意味がありません。

その経理や税金の申告の事務を、税理士に丸投げして、時間をつくっていただきたいです。

その時間で、税理士費用以上に売上を上げればいいですし、老後の楽しみをいまやってもいい。その時間をどう使うか、想像していただければなと考えています。

ということで、当事務所は、確定申告の丸投げも受けています。

編集後記

来年の確定申告業務の準備を始めました。月内にご依頼いただければ、1月中の申告も可能です。

還付の方は還付も早まりますし、納税も早く済ませて、次に行きましょう。

2月16日以前の納税となる申告でも、期限内申告として取り扱われますので、遠慮せず申告書を出しましょう。