掛金が全額経費になり、節税に使えるとアピールされまくった結果、規制が入るパターンが、2024年度の税制改正大綱でもありました。
倒産防止共済です。倒産という名前が縁起が悪いからか、経営セーフティ共済という愛称がついています。
倒産防止共済による節税策に制限がかかりました
経費になるということは、所得税の税率だけではなく、住民税・個人事業税・国民健康保険料も下がるということで、効果が大きいものです。
解約して掛金を戻してもらうと、今度は雑収入となり課税されます。そこでさらに再加入して掛金を払えば課税を抑えられるため、1年以内の再加入が71.2%に達していると、中小企業庁が発表しています※。
そこで、「解約日から2年以内は、再加入できるけれども、掛金が必要経費にならない」という規制が入る予定です。
2024年10月1日以後の解約が対象です。次に掛金を経費にできるのが、2026年10月1日からになるわけです。
※「中小企業倒産防止共済制度の不適切な利用への対応について 令和6年1月」
倒産防止共済の本来の利用法は、取引先が倒産したときに、最大8000万円の貸付が受けられるというものです。
ですが、その本来の利用が低調です。コロナ期に、非常に借り入れがしやすくなり倒産が減少したため、もともと減少傾向であった共済金貸付件数※が、さらに減っています。いちおう連動はしているようです。
倒産件数は、中小企業庁が東京商工リサーチの数値をまとめた統計「倒産の状況」によりました。
掛金を経費にするには、明細書の提出が必要です
会計検査院からの指摘で、法律で掛金を必要経費に算入するための添付書類が決められているのに、添付されていないケースが多いというものがありました。
その添付書類が、「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」です(個人の確定申告の場合。法人も同様の書類あり)。
なので、倒産防止共済の掛金を払った方は、この明細書の提出が必要です。話題になったために、ないと目立ってしまいます。
それなのに、国税庁公式の「確定申告書等作成コーナー」では、e-Taxによるこの明細書の提出ができないのです。
確定申告書等作成コーナーで送信したら、明細書は郵送
マイナンバーカード方式で確定申告書等作成コーナーにログインし、e-Taxで確定申告することは、だいぶ当たり前になってきています。マイナンバーカードが普及したおかげとも言えます。
税務署も、この確定申告書等作成コーナー+e-Taxによる送信の利用を進めてきます。が、会計検査院から指摘された書類のe-Tax送信が、作成コーナーではできないのです!
別途、特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書をダウンロードしていただき、印刷し、手書きで明細書を作成する必要があります。
確定申告書等作成コーナーで、申告書の作成を最後まで終えると、送り状のような「送付書(兼送付書)」という書類がPDFでダウンロードできます。
この送信票を印刷します。
提出書類の一覧表の空いている行に、「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」と書いていただき、「別途提出」の列に「〇」を記入します。
送付票の右下に、この「別途提出」の書類を郵送する宛名ラベルが印字されていますので、これを切り取って封筒に貼ります。
先ほどの「送付書」と一緒に、この明細書を所轄の税務署(または業務センター)に郵送するという手順が必要です。
送信票(兼送付書)がないと、誰の明細書かわかりませんので、必ず送信票とセットで明細を郵送するようにお願いします。
e-Taxで送信したものと、この郵送した明細書とを合わせて、申告書一式として扱われます。
今日のはじめて
- とあるビルの展望台から、みなとみらいの夜景を眺める