NPO法人会計基準とは何で、企業会計と何が違うのか

NPO法人や、非営利活動を行う団体では、NPO法人会計基準を採用することがあります。

一般企業のような損益計算書・貸借対照表を用いてもよく、昔ながらの収支計算書でもいいのですが、他からNPO法人会計基準での決算書を求められたら、対応せざるをえません。

テックスープのような、非営利団体向けの割引プログラム(Zoomなど)を利用したい場合も必要になることがあります。

まだNPO法人会計基準を採用されていないのでしたら、ここで概要を学んでいきましょう。

非営利団体で収支計算書(現金主義)が多かった理由

いまでも学校のPTAの会計などは、収支計算書が多いですね。

お金が入ってきたとき、お金が出ていったときにExcelに入れるようなイメージです。

現金が増えたら、増えた額の「収入」の勘定科目に書き、減ったら、減った額を「支出」の勘定科目に書くという。

これは、非営利団体が行う事業は、もともと行政が行っていたことに起因します。

自治体の会計が、収支計算書方式だったからです。

お住まいの自治体によっては、このような現金主義ではなく、発生主義・複式簿記に公会計を変えていこうという動きもあります。

そのほうが、数値のもれ・誤りを発見しやすく、決算書の信用度が高まるからです。

NPO法人という民間組織が、複式簿記であるNPO法人会計基準の決算書を公表することで、支援を受けやすくするという目的があります。

企業会計と何が違うのか

発生主義・複式簿記だと、企業会計と同じということになるが、何が違うのか?

じつは、ほとんど違いがありません。

損益計算書の名前が、活動計算書になっただけです。

損益ではなく、「活動」、つまり費用に注目した計算書になっています。

事業費や管理費に区分するのが、公益法人会計基準にちょっと似ていますね。

支援者の方から集めたお金を、このように使いましたよ、という報告です。

違いは、所有者がいないことで、利益の配当はなく、解散しても残余財産は個人に帰属しません(他の非営利団体か自治体・国に帰属)。

ということで、原則として法人税はかかりません。例外は下記参照;

法人税がかからない非営利団体の収益事業に法人税がかかる理由 – 税理士 木村将秀のブログ

そのため、一般企業の貸借対照表でいう「純資産の部」がありません。

名前こそ、「正味財産の部」として変わりますが、資産-負債=正味財産(純資産)という考え方は同じです。

ただ、所有者がいないので、正味財産の部は、何かに区分することはありません。

ここが、社会福祉法人会計基準などと違うところです。

重要なのは、NPO法人会計基準と他の法律・行政の指針との調整

NPO法人に業務を委託する行政は、NPO法人ができる前から、社会福祉法人などに業務委託をしていました。

いまは、NPO法人が、それらの業務を受託することも増えています。

ただ、行政の指針が、社会福祉法人を前提にしているので、その指針を参考にNPO法人の決算をしようとすると、混乱するもとになります。

指針をよく読めば、その法人が採用する会計基準で決算書を作成すればよい旨、書かれていますので、NPO法人会計基準を採用する場合には、あくまでその基準で決算をすればよいのです。

ただし、その決算の結果をもとに、行政の指導が入りますので、その監査の基準も知っておかなければ、適切な決算が行えません。

特に、税金をもとに事業を行うのですから、そのお金を貯めこむことは、原則としてよしとされません。(例外はあります)

さらに、非営利組織だから税金がかからない、というわけでもありません。特に消費税には注意が必要です。

非営利(NPO法人等)でも気をつけたい消費税の納税義務 – 税理士 木村将秀のブログ

受託事業が、消費税や法人税が非課税であればよいのですが、そうでない場合、将来の納税も見越して予算を立てておく必要もあります。

NPO法人会計基準、該当する行政法、そして税法の3つに目配りをして、決算を進めていきたいものです。

当事務所では、NPO法人の税務・会計顧問や、また、決算にあたって分からないことだけ答えてほしい、といった単発相談にも対応しています。

編集後記

メール相談に2回目の回答を送信。おおむね1週間で2往復を想定しています。

音声配信を聴いていると、PCがスリープしがちになってしまい、設定に苦戦中……。

餓狼伝説 cotw の EOST は、SOUTH TOWN+をロックで対COM戦の達成度100%に。でも特典は特になしでした。

1日1新:横浜市営地下鉄ブルーラインで、クレジットカードによるタッチ決済