不動産賃貸業が縮小してきたら簡易課税、インボイス不要事業者への貸付けの検討を忘れずに

不動産賃貸業を縮小していく、ということもあろうかと思います。

もともとは店舗や駐車場を大々的に貸しており、消費税は一般課税(本則課税ともいう)で申告してきた方。

不動産賃貸業は消費税のかかる経費があまり出ません。したがって、一般課税だと消費税の納税額が多額になりがちです。

一方、建設や解体に多額の費用を投ずれば、消費税が還付になるということもあるわけですが。

通常、店舗・事務所・駐車場の賃貸なら簡易課税が有利

事業を縮小しているうちに、年間税抜売上高が5千万円以下になったら、その2年後には簡易課税で申告できるようになります。

不動産賃貸業では通常、簡易課税のほうが有利ですので、届出を忘れないようにしましょう。

しかし、一般課税中に賃貸用建物の取得をすると、その翌期は簡易課税が選べないことには注意しましょう。

また、簡易課税が使えるように、あらかじめ法人を分けて1社ごとの売上高が5千万円を超えないようにする、という方法も考えられます。

課税売上1千万以下で不動産を賃貸するなら、非課税売上しかない事業者に貸す

次は、もともと消費税を納めていない、売上1千万円以下の免税事業者である、店舗等の大家さんの話。

インボイス制度が始まると、借り手が事業者さんの場合、売上が1千万円以下であっても、インボイスを求められ、課税事業者に転換する必要がある場合もあります。

アパート経営なら、消費税を納税する必要はありませんが、空き室の問題があります。

収入の安定を図るには、居住するための個人に貸すよりも、事業者に事業所として貸したほうがよいとも考えられます。

もちろん、大半の事業者に貸すと、消費税のかかる売上になりますし、インボイス登録を求められるかもしれません。

一方で、一部の業界団体、開業医や薬局、介護サービス、教科書販売業といった公共的なお仕事をされている方の中には、消費税を納税していない事業者もいます。(不課税・非課税売上がメインの事業者)

決算書に「未払消費税等」がない、インボイス登録していない、という事業者にあたりをつけて、テナント募集してみるというのも手かもしれません。

よくよく相手方の事情を調べる必要はありますが、うまくいけば、事業者相手の安定した収入と、売上1千万円以下キープ+インボイス登録不要で消費税の納税なし、とを両立させることができます。