横浜市港南区の税理士、木村です。
「退職金をもらった年について確定申告したいんだけど、確定申告書等作成コーナーでエラーが出ている」という方向けの記事です。
- お勤め先が「中小企業退職金共済(=中退共)」に加入している
- 勤務先と中退共との両方から退職金が支払われた
というケースについて、解説します。
どんなケースか? 会社の退職金規定にもとづく退職金額>中退共支払額 で、中退共では不足する金額を、会社が追加で払う場合です。
お手元に、退職所得の源泉徴収票が、2枚あるのではないでしょうか。
- 会社の分(先に退職金をもらった分)
- 中退共の分(後に退職金をもらった分)
こんなエラーが出ていませんか?
会社の「退職所得の源泉徴収票」(1号適用分)を入力したら、中退共の源泉徴収票(法第201条第1項第2号適用分)が選べなくなってしまった。(2号適用分のラジオボタンがグレーアウト)
または、最初に中退共の源泉徴収票を入力して、「もう1件入力する」をクリックしたら、エラーメッセージが表示された。
で、上の方を見ると、「所得税法第201条第1項第2号適用分の源泉徴収票がある方で、退職所得の源泉徴収票が2枚以上ある方」は、利用できないと書いてある。
「手書きでの作成」……。e-Tax、あきらめるしかないのか? でも、会社の退職金+中退共の退職金なんて、よくあるケースじゃないの?
という疑問、もっともです。大丈夫です! これは「よくあるケース」なので、ちゃんと e-Tax で確定申告できます!
「第一支払者」と書かれた源泉徴収票を確認しよう
中小企業退職金共済事業本部の「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」をご確認いただけますか。会社のものじゃないほうです。
その支払金額の2行目、【所得税法第201条第1項第2号…適用分】に、中退共からの支払金額が載っています。
そしてその下の摘要欄に、「ダイイチシハライシヤ」(第一支払者=勤めていた会社)が載っていて、その行の末尾に、会社からの支払金額が載っているはずです。
このような源泉徴収票をお持ちの場合は、確定申告書等作成コーナーでe-Tax(電子申告)可能です。
確定申告書等作成コーナーでの入力方法
「退職所得の入力」画面を、下の方にスクロールしてみてください。次のような画面が表示されるはずです。
「もう1件入力する」ではなく、「摘要欄に記載された、他の退職手当等に係る支払者等について入力してください。」の欄に、(摘要)の情報を入力するのが正解です!
摘要欄に元職場(ダイイチシハライシャ)の記載があれば、会社からもらった1号適用分の退職所得の源泉徴収票は、無視してかまいません。
源泉徴収票が2枚あるからといって、2件入力するのではありません。
(1) 中退共の退職所得の源泉徴収票の支払金額・源泉徴収税額と、(2) 摘要欄の支払金額・源泉徴収税額とを合わせて、1件目(2号適用分)に入力するのです。
「もう1件入力」は、クリックしないのが正解です。正しい入力結果は、入力画面の一番下に、以下のように表示されます。「独立行政法人勤労者退職金共済機構 ほか」となるわけです。(金額は例)
第二支払者である勤労者退職金共済機構が、第一支払者である会社の情報をもとに、2つの退職金を合わせて正しく源泉徴収してくれているので※、第二支払者の源泉徴収票(摘要欄に第一支払者と書かれているもの)だけで入力します。
もし、第二支払者が会社の場合(中退共の退職金を先にもらった場合)は、会社の退職所得の源泉徴収票をベースに入力し、その摘要欄を、1件目の続きに入力することとなります。
会社員(または公務員)生活おつかれさまでした。退職後のご自分の仕事・収入について、税理士に話してみませんか? 退職してフリーランスや起業された方のご相談、お受けしています。
※給与計算をやっていた方なら、前職がある従業員を年末調整をしたときの「給与所得の源泉徴収票」と同じだな、とお気づきになるでしょう。
参考:中退共とは別に会社からも退職金を支払う場合、「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」を会社ではどのように作成(計算)しますか?|Q&A(よくあるご質問)|中小企業退職金共済事業本部(中退共) (taisyokukin.go.jp)
【確定申告書等作成コーナー】-(退職所得)所得税法第201条第1項第2号適用分の支給がある場合の入力方法 (nta.go.jp)
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おうち斬サムで、見切り→ガードで攻撃を食らわない方法を憶えた