『1Q84』をピークとして、以後は徐々に加齢を感じるのであるが、実際に加齢しているから仕方がない。とはいえ好きな作家の新作を読むのは至福である。
内容は、初期に回帰したような雰囲気のものと、加齢した今の立場のものとが混在した、エッセイ風小説。
ちょっと起伏に乏しいかなあと思いつつ読み進んでいると、最後のタイトルチューンが、作者とともに貧乏でなくなってしまった読者にぶすりと刺し込んでくる。マンガなら「油断した」と傷口を押さえてうめいてしまうところだ。
「本をあと数ページというところまで」という一文と同時に、読者の手元の本もあと数ページになっているところ、函入の『はてしない物語』(ミヒャエル・エンデ)に似た一体感があって、好きである。
話はいつもの引出しから出てきて、いつもの展開をするのだけれど、『海辺のカフカ』以降にしばしば見受けられた「またか」感は薄かった。不思議だ。
2020年7月18日発売。

1980年生まれ。木村将秀税理士事務所・代表。主にフリーランス・独立間もない個人事業主・法人設立を検討中の方のサポートをしている。自分で経理・申告したい/顧問税理士をつけたい/記帳代行を依頼したい に対応。特技はウォーキング(最長は戸塚~小田原間 45km 14時間)、趣味はジャズ喫茶巡り・村上春樹の本・SNK対戦型格闘ゲーム。プロフィール詳細