空き家の実家、解体費用が出せなくても3000万円控除の特例が使えるように(2024年から)

一人暮らしをしていた親が亡くなって、実家の古い土地建物を相続することになった。

自分は遠方の賃貸で暮らしており、実家を相続しても、自分たちが住む予定はない。

親が亡くなってから、実家は空き家のままになっている。売れるものなら売りたいが……。

不動産は売ると、税金も100万円単位になりがちです。特に、都心だと売買代金が大きくなりがち。また、売るためのコスト(解体費用など)も100万円単位。慎重になってしまうところです。

これらをどうにかする方法があります。

相続した空き家+敷地を売ったときの税金は安くなる可能性あり

このように、旧耐震基準の空き家の発生を防ぐため、売ったときの税金を抑える特例があります。災害対策といった趣旨もあるのでしょう。

その実家が、1981年5月以前に建てられたものだった場合、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」が使えます。

いま、43歳以上の人が、生まれる前に建った戸建であることが条件です。

その他、マンションなどでないこと、相続からまだ3回しか正月を迎えていないこと、代金が1億円以下であること、といった細かい条件があるので、該当しそうなら税理士へのご相談を。
(市の広報を見ていると、たまに無料相談会が載っていたりしますよ)

2024年から買主に解体費用を出してもらってもOKに

この特例を使うと、最大で600万円、税金が減ります。特に昔(インフレの前)に購入した家は、売却益が出やすいので、効果が高くなります。

そんなに税金で面倒を見てくれる理由は、古い空き家を増やさないという、一種の社会貢献をした人へのお礼といった側面もあるのでしょうね。

なので、売主が、相続した土地建物から、「旧耐震基準」の戸建てをなくすことが必要です。なくす方法は2つあります。

  • 建物に耐震改修工事を施す
  • 建物を解体する

しかし現実に、築43年以上の実家を耐震補強工事する人は、まずいないでしょう(実家が歴史的建造物とかでなければ……)。ふつうは、取壊し・解体を選びます。

これまでは、売主が事前に解体費用を出す必要があったのですが、売却収入を得る前にお金を出す必要があり、そこがネックになっていました。

2024年1月1日以後の空き家売却では、この、先にお金が出ていく難点がなくなりました。

買主が、買ってから、売った年の翌年2月15日までに、買主の負担で解体してくれればよくなったのです。

不動産屋さんに買い取ってもらったりすると、買主買取の対応をしてくれるかもしれませんね。

すべては空き家を増やしたくない国の政策のためですね。いままで、意外にこの特例の利用件数が少ないそうです。1980年以前の住宅は1千万軒くらいあるそうですが。

この特例の利用には、役所の協力も必要なのですが、役所の方も慣れていなかったり、担当者が少なかったりします。

令和5年度 住宅経済関連データ – 国土交通省 (mlit.go.jp)

買主に解体費用を出してもらった場合の注意点

この特例を受けるためには、確定申告をする必要があります。

その際、買主に解体してもらった場合特有の注意点があります。

その収入金額の欄に入力すべきは、不動産売買契約書に記載がある売買代金だけではありません。

固定資産税清算金、譲渡協力金、移転料といった名目で、後日、買主から受け取るものも含めます。なので、契約書のほかの精算書や、通帳の入金額も確認しておきたいものです。

さらに、買主に出してもらった解体費用。これも、翌年の確定申告書を作成するまでに、教えてもらわなければなりません。

売買代金は、この解体費用の分、安くなっているはずですから、相続した土地建物そのものの値段に戻すために、売買代金に足し戻す必要があります。
(代金が1億円を超えていないかの判断にも使います! これを足して1億円超になったら、特例は利用できません)
(取壊し費用と相殺されるため売却益には影響しません)

不動産屋さんもこのあたり、承知していて、契約書に通知する旨(特例適用のため)を記載してくれることもあります。不動産屋さんにも、相談してみましょう。

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