空き家になった実家を相続した。ずっと賃貸住まいなら、実家に戻る予定がなくても相続税は下がる

なかなか、実家(戸建)って売れないものです。

親がひとり暮らしになって、介護老人ホームなどに入所していて、実家は空き家になっている。
でも、いつか戻るかも……と思って売れない。

認知症になって、売れなくなることも。

そうすると、実家をいったん相続して、相続税の申告をする必要があります。

実家を出てからずっと賃貸派だった子が空き家を相続した場合

遺産分割協議の結果、または遺言書で、借家住まいの自分が実家(空き家)を相続することになった。

きょうだいはすでに持ち家があるから、ということで。

自分は、実家を出てからずっと賃貸派で、自分で家賃を払ってきた。不動産は買ったことがない。

という方も、相続した親の一戸建てにいつか住む可能性があります。

そういった、親御さんとは別居で、生計も別という親族の方が、相続税の支払いのために実家を手放さずに済むための特例があります。

小規模宅地等の特例(別居で生計も別の賃貸派親族向け。いわゆる家なき子特例)といいます。

いまのご自分のお仕事のため、実家に戻る予定はなくても、親御さんが亡くなられてから10カ月(相続税の申告期限まで)、実家を所有したままでいれば、特例は受けられます。

実家の評価額がどのくらい下がるか

7月1日に、土地の路線価が公表されました。再開発の進んだ駅前を中心にアップしています。

通常は、土地の面積×その土地の接している道路の路線価が、土地の評価額となります。

電鉄会社が分譲したような古くからの住宅地だと、四角い形の土地になっているので、ほぼ、その掛け算の金額です。

小規模宅地等の特例が使えると、土地の評価額が80%減となり、相続税はかなり軽減されます。

仮に土地の面積×路線価=40,000,000円、建物が8,000,000円(固定資産税評価額)だとすると、実家の評価額は48,000,000円ですが、この小規模宅地等の特例が使えると、

土地40,000,000×0.2+建物8,000,000=16,000,000円 と、3分の1になります。

親御さんが施設に入っていた場合の注意点

親御さんが介護認定を受けて以来、ずっと施設におり、実家は空き家になっているという場合。

これはふつうのことで、このケースだと、その空き家は、親御さんが戻ってくるべき家だと考えます。

ということは、空き家は、空き家のままにしていなければならないのです。

「親が施設に入っているから、空いた家に自分が住もう」となると、特例が使えません。

親御さんが現に住んでいる家か、誰も住んでいなくて親御さんが戻ってくるべき家であれば、OKです。

将来、やはり自分は住まないからと空き家(築43年以上)を解体・売却する場合でも、空き家売却で所得税を下げる特例を使うときに、空き家(未利用・親御さんの荷物を置いてあるだけ)をキープしていることが必要になります。

まとめると、

  • ひとり暮らしの親御さんが亡くなるまで住んでいた、または介護認定でホームに入るまで住んでいた家が、相続で空き家となり、
  • その空き家を相続した子が、ずっと賃貸派で住まいを買ったことがなく、
  • その空き家を、親御さんが亡くなってから10カ月間売らずにいて、
  • 亡くなってから10カ月以内に、家なき子特例を受けるための相続税の申告をした

のであれば、相続税の負担は小さくなります。

昨日のインドア

『推しの子』の連載を読んだ後、事務所ホームページを改修