「中古住宅を、買った値段より安く売ったのに税金がかかる」とは?

個人から買った中古住宅を売る場合、買った値段より安く売っても、税金がかかる場合があります。

そもそも、最初に中古だから新築より安く買えたということは、新築のときより、自分が中古で買ったときのほうが価値が下がっていたからです。

その中古住宅を、自分が売る場合も同じです。自分が中古で買ったときより、さらに価値が下がっていると考えます。

収入-経費(取得費)-諸費用=売却益

その収入を得ると同時に、お持ちの不動産は自分のものではなくなります。そのなくなってしまった価値を計算するのが、経費(取得費)の計算です。

取得費というと、買った金額そのものを意味するような気がしますが、違います。
買った金額から、時間の経過とともに価値が下がったあとの金額が、取得費なのです。

そして、その価値が下がるのは、建物だけです。土地は買った金額そのままで考えます。

建物の価値が下がるので、買った金額より安く売っても売却益が出る場合がある

ただ、不動産売買契約書を見ても、個人から中古住宅を買った場合は、ふつう、売買代金が1つしか載っていません。土地がいくら、建物がいくらとは載っていないものです。

でも取得費の計算上、価値が下がるのは建物だけなので、購入代金を土地と建物に分ける必要があります。

一般に、建物のほうは古くなると無価値とされます。なので、不動産取引上は、「古家ありだけど、この値段は土地の値段と考えてください」と言われたりします。

実際、そういう建物を内見してみても、実際にはリフォームしても厳しいかな、結局建てなおすしかないか……と思われると思います。間取りはよくても、天井が低かったり、階段が急だったりしてね……。

税金の計算上も、基本的にはその実感にそって計算します。

売買代金-買った値段より価値の下がった建物-買った値段のままの土地=売却益

この計算式は、買ってから売るまでの値上がり益を意味しています。

売却益の計算上、古くなった建物の価値を下げてから経費として引くので、買った値段より安く売っても、売却益が出る可能性があるのです。

標準的な建築価額表の金額は、実際に払った金額とは無関係

さて、土地と建物の金額を分けましょう。

価値の下がる建物部分を計算するために、国税庁が発表している「建物の標準的な建築価額表で求めた1平方メートルあたりの建築単価」を使って、先に建物の値段を出します。

ここで求める建物の価値は、一種、計算上・理論上の金額です。実際に払った金額とは関係ありません。

統計データにもとづいた、新築した年の床面積当たりの建築単価(全国平均)があるので、これに建物の延べ床面積をかけて、新築の建物の価値を出します。(マンションの場合は専有部分の面積)

でも契約書に建物の金額が載っていない以上、統計から割り切って計算することが認められているわけです。よくあるケースですので。
(もちろん、土地建物を買った代金の総額しか分からない場合に限ります!)

で、中古で買った場合には、新築した年から、中古で買った年まで、時間経過とともに下がった価値を求めます(償却費相当額の計算といいます)。

理論上の新築代金から、中古で買うまでのあいだに下がった価値を引いたのが、中古で買ったときの建物の価値となります。

そこから、中古住宅を買った代金の総額-中古で買ったときの建物の価値=中古で買ったときの土地の価値(A) を求めます。

最後に、もう一度、今回売るまでのあいだに下がった価値を引いて、建物の価値(B)を求めます。

売却の際の経費のうち、取得費は、この(A)+(B)となります。

譲渡所得の取得費の計算上は、事業所得や法人の減価償却費のように、中古の耐用年数という概念はないので、混同注意です。

建物の標準的な建築価額は、年々上昇する傾向にある

ポイントは、中古で買った年の標準的な建築価額ではなく、新築の年の数値を使うことです。

建物の標準的な建築価額表 (nta.go.jp)

新築の年は、登記情報などでわかりますので、それを用います。

ここは間違えないようにしましょう。というのは、現在に近いほど、建築価額がアップしているからです。ニュースにもなっていますが。

一時期ウッドショックなどと言われましたが、それも過去のものとなり、年々上がっている感じです。

すると、建築価額の年を新しいほうに間違えると、払った金額のうち、建物の占める割合=価値の下がる割合が増えてしまい、反対に売却益が上振れしてしまうことになります。

もちろん、マイホームを売ったときの特例(3000万円控除)などが使えれば税金の負担は減少しますが、いずれにしても建物を売ったときの価値の計算は必要です。

今日のお酒

ジェムソンのハイボールが好きで、外でたまに飲むのですが、なんと上大岡「庄や」にもあった……。あと関内BarBarBarにもあります。でもいちばんおいしいのは、横浜浅間下のBAR IGETAですね。甘いジントニックと、辛いハイボールで交互にいけます。