通常、実家を出て結婚して独立して生活をしていると、実家というのはいずれ、誰も住む人がいなくなってしまいます。
そういった、空き家が増えると、住環境が悪化するので、国土交通省としては空き家解体を促進するために減税策を使いたいのです。
ただ、財務省としては、空き家の売却ならなんでもかんでも減税の対象にすると、税収が減ってしまうので、一定の基準を設けています。
その制限に引っかかると、空き家特例が使えなくなってしまいます。NGになるケースを、ざっとチェックしておきましょう。
いま、相続後すでに4回正月を迎えていたら不可
住む人がいなくなって(空き家になって)から、速やかに解体してくれないと、空き家を減らす効果が出ないですね。
また、不動産が有効活用されるタイミングも遅くなってしまいます。
そのため、売却には期限があります。
実家に最後に住んでいた親御さんが亡くなり、その3年後の命日の前日が属する年の、年末までに売る必要があります。
というとわかりにくいのですが、相続後、正月を迎えたのが3回以下なら大丈夫ということです。3回目正月を迎えたら、その年末までに売ります。
また、法律では2027年までの売却が対象になりますが、おそらく延長されるのではないかと思います。
土地のみ、または、建物のみを相続していると不可
土地も建物も両方、自分の所有にする必要があります。
両方とも、相続か、遺贈か、死因贈与かで自分のものにする、という経緯が必要です。
建物が信託財産になっていると不可
建物が信託財産になっていると、相続・遺贈・死因贈与のいずれでもない取得になるので、対象外になります。
建物がマンション(区分所有登記)がされていると不可
通常、マンションというと鉄筋コンクリート造ですし、空き家になっても、崩落したり延焼したりする心配が少ないです。
なのでマンションは不可。
マンションのような形をしていなくても、2世帯住宅を区分所有登記していてもダメです。
築年が昭和56(1981)年5月31日以前でないと不可
いわゆる旧耐震基準というものです。
大地震で倒壊する可能性が高く、倒壊すると避難の妨げになることもあるでしょう。
なので、この古い建物に限って、空き家の解体・譲渡特例を認めています。
亡くなる前に親御さん以外の人が住んでいたら不可
これは親族であっても他人であっても不可です。残された親御さんが亡くなられて、誰も住む人がいなくなることが必要です。
親御さん以外に誰かが住んでいたら、親御さんが亡くなっても空き家にならないので、対象外になります。
人が住んでいれば、管理されるわけなので、空き家が問題にはなりにくいです。
空き家特例を受けたいから出ていけ、と言ったら同居人も困ってしまいますし。居住の保護、大事です。
要介護認定を受ける前に老人ホームに入所したら不可
あくまで介護を受けるために、家を出る必要があります。
介護の必要があって、一種の入院として老人ホームに行く場合、あくまで生活の拠点は自宅です。
そのため、たまに自宅に帰っているとか、水道光熱費の契約名義は親御さんのままにして、その口座から引き落とされているとか、という状態である必要があります。
親御さんの物もちゃんと保管しておいてね。
親御さんが老人ホームに入って家が空いたのを機会に、他の親族が転居してきて電気ガス水道代の名義を変えてしまったり、事務所にしたり、貸家にするのはNGです。
なぜかというと、そうするともう親御さんが戻れる自宅ではなくなり、生活の本拠が老人ホームに移ったと考えるからです。
相続空き家の特例をすでに受けていると不可
この特例を初めて使う、という人だけが対象です。
親御さんの自宅が二つある場合、メインの自宅にだけ特例が使えて、サブの自宅には使えません。
買主が自分の配偶者・親・祖父母・子、他の親族で売主と生計一の者等だと不可
見出しの他には、買主が次の場合も不可です。
- 他の親族で買ったあと売主と同居する者
- 生計一の愛人とその親族
- 親族、生計一使用人などと合わせて支配している会社
買主がこれらの者だと、売主が頼み込めば、売った空き家に自分が住めてしまうので、実質的に売ったとはいいがたいからです。
でもこのリストをご覧になればわかるように、生計が別の「兄弟姉妹」に売るのはOKです。
売買代金が固定資産税等清算金を含めて1億円超だと不可
都心だとありうるでしょうが、1億円超で売れる場合はNGです。
契約書の金額のほか、後から振り込まれる固定資産税等清算金も含めて代金と考えます。
つまり、特例を受けようとして、契約書の売買代金を「1億円」ジャストに設定したら、アウトです!!
固定資産税・都市計画税清算金が入ると、1億円を超えるからです。
一種の所得制限のようなものですね。
それだけ高く売れれば、正規の税金を払っても残りでご自分の居住は確保できるでしょ、という感じでしょうか。
売主か買主かが建物を売却翌年2月15日までに取り壊していないと不可
自分が解体すれば、間違いないですが、買主が、契約書に「買主が解体する」旨の文言を入れてくれて、実際にそうしてくれればOKです。
でも自分で解体したほうが確実ではあります。
また、旧耐震基準の家であっても、すでにリフォーム済みで耐震性がアップしていれば、解体する必要はありません。倒壊の恐れが低いですからね。
とにかく、旧耐震基準の家を解体して、住環境を悪化させないことが、この3000万控除を受ける見返りなのです。
古い空き家を減らすという政策に協力してくれた人へのお礼のようなものです。
取壊しにも期限(翌年2月15日まで)があるので注意です。
取り壊す前に空き家に住んだり、事務所にしたり、貸家にしたら不可
前も似たような制限がありましたね。相続後は、売却するまで空き家のままにしておきます。
解体後に敷地を使用していたら不可
解体したら、空き家という概念はなくなりますが、敷地も売却するまで更地のままにしておきましょう。
取得費加算の特例を使用していたら不可
相続税がかかっていたら、その分を売却益計算上の経費に入れられるのですが、それを入れてしまうと空き家3000万控除が使えなくなります。
通常は空き家3000万控除の特例のほうが有利なので、これだけ選択するようにしましょう。
数次相続で、1次相続によりすべて子に移したときは不可
両親が同居していて、立て続けに相続が発生した場合、1次相続の遺産分割協議で実家を直接子が相続してしまうと、1次相続の時点では実家が空き家になっていませんから、特例が受けられません。
いったん配偶者が全部実家を相続して、2次相続の遺産分割協議で子が相続する必要があります。
登記が2回になって手間ですが、売却益が出そうなら、ステップを踏みましょう。
減税を受けるには、この数々の制限をクリアしなければなりません。
小規模宅地等の特例の特例と絡めると、相続税申告期限までは売ってはいけない、というケースも出てきます。
また区役所で、空き家であったことの証明を受けられなくても不可になってしまいます。
空き家の売却については、税理士も交えて相談されることをおすすめします。
編集後記
いつもこの時間帯は、『ふつうの軽音部』更新待機しています……。
日中は下の子とネオジオミニ(龍虎の拳、ティンクルスタースプライツ、餓狼 Mark of the Wolves、ジョイジョイキッド、バーニングファイト)で2人プレイしたり、公園に行ったり(雨の前触れの強風でバドミントンができず……)、相撲を取ったりして遊びました。
子どもが小学校低学年のうちに、一緒にたくさん遊んでおくの、おすすめです!