会計事務所の経験を積んで、独立後に役立てる

10年近く前に会った事業主の方が、もともと会計事務所に勤めていたという話を聞いたことがあります。

その簿記やコンサルティングの知識、学習欲はいまでも役立っていると。

SNSを見ていても、会計事務所出身で起業したという方はいらしゃいます。すると経理や税務は自分でできますもんね。

こういった力を今からに身に着けるには、会計事務所に転職するという方法があります。

簿記系の資格を取りつつ、転職先を探す

若くて、簿記2級以上の合格者であれば、人手不足の会計事務所への就職は特別な工夫をしなくても可能でしょう。

30代であれば、ある程度戦略的に考える必要があります。

私は簿記学校で、実務家(税理士)の講演会があれば必ず参加し、名刺交換をしていました。就職活動では、その講演の内容や名刺を参考にしました。

また、自分の出身高校・大学が同じ税理士の事務所を探すというのも手です。

縁もゆかりもない税理士事務所・税理士法人に採用されるのはなかなか難しいものです。

なので、会ったことがある税理士のいる事務所に応募するというのは、戦略の一つとしてありです。名刺は大切に保存しておきましょう。面接のとき見せることで効果を発揮します。

(もちろん、その講演の内容に実際に共感していることが大事です)

税理士の名前でも検索してみて、その事務所のホームページを見ておきましょう。また、時間が経つとその税理士も転職して勤務先が変わっていることもあります。

税理士事務所は、会計法人を別に持っていることがあり、その情報もホームページに載っていることがあります。その名前は憶えておきましょう。ハローワークでの企業名の検索で使えます。

年齢と資格とを考慮して、このタイミングで転職活動するぞ! ということはあらかじめ決めておきましょう。

求人情報の読み方

そして、その前年、前々年から、簿記学校に貼り出される会計事務所の求人票を写真に撮っておき、将来の転職活動の参考にしておきます。勤務地や年齢、待遇をイメージしておくのです。

私の転職に実際に役立ったのはハローワーク訪問です。パソコンで希望に合う事務所を絞り込みましょう。

ハローワークインターネットサービスで検索できる「求人情報詳細」の注意点をお伝えします。

まず、事業所名を、「税理士」で検索するのは基本なのですが、まれに、会計法人の名前で求人を出している場合があります。すると事業所名には「税理士」が出ませんので、見逃さないように注意が必要です。「会計」でも検索します。

重要なのが、残業時間です。「時間外」の情報をチェックして、そこに記載のある残業時間のだいだい2倍を見積もっておけば、びっくりしないでしょう。実際のところは、検索時点ではわかりません。

次は「従業員数」です。男女比が載っており、個人的な経験では、女性比率が低いところは仕事がハードです。経験を積みたいならハードのほうがいいという考え方もあります。

職務経歴書の書き方

ハローワークの担当者に相談すると、どのような履歴書や職務経歴書を書けばよいのか、親身に詳しく教えてくれます。

担当者からは、税理士事務所の労働環境の一般的な厳しさについても話が聞けるので、気になることがあれば相談時にもれなく聞くようにしましょう。

もちろんハローワークの公式サイトにも情報が載っているので、それを参考にします。

具体的には、求人情報にある「仕事内容」を小見出しに、それぞれに対応する自己アピール文を書く(各個撃破方式)です。

仕事内容の行には、その事務所の業務がリストで書かれているので、それを、職務経歴書の「活かせる能力」の項の小見出しにします。

その見出しに対応する自分の能力を、文章で論述しましょう。その能力を示す実績がない場合には、受験勉強時の経験をアピールしたり、その業務をするための知識を勉強中(大原の実務力養成講座受講中など)であったりすれば、それを書きます。

Word・Excelが使えることを求められることも多いので、PCが得意なこと表現しておくとよいでしょう。

自分で経理業務の知識・実務能力を身につければ、起業後も必ず役に立ちます。

……いまさらそこまでやれない、という方は、その経験を積んできた税理士の力を借りるのも手ですね。

編集後記

私は、税法条文の意味が取れないときは、その条文に使われている漢字一文字の意味から調べて、判断の助けにするのですが、同業の大先輩も同じようにしていると聞いて、同じだ、と思いました。