個人のお仕事を受けることが多い、税理士の木村です。
個人として事業所得のあるフリーランスや士業の方。
青色申告決算書(損益計算書)に、わざわざ接待交際費という欄があるから、こういう費用も経費になります。
面白いのは、不動産所得の損益計算書には、「接待交際費」という欄はないんですよね。
ただ、その内容が飲食を伴う場合、なんでもかんでも経費に入れないほうがよいです。
自分の仕事がもうかっているのか、単に蓄財を消費しているのかの区別がつかなくなるからです。
自分でルールを決めておき、パッと判断できるようにしておきましょう。
すでに仕事が決まっている人との打ち合わせや接待は経費
「これは経費になりますか?」と聞かれたら、「その経費が、何の売上につながっているか言えますか?」と聞き返したいです。
この人相手の仕事をして、報酬をもらうことが決まっているのであれば、通常行われる懇親会や接待については、自分が飲み食いしていても経費になることが多いのではないでしょうか。
その飲食費は、ふつう、その仕事の報酬より安いからです。
先行投資、投下資本の回収という言葉のとおり、回収の見込みがあれば問題視されるリスクは下げられます。
今年中に仕事が完了しない(売上高に計上しない)という場合でも、契約で来年の仕事が決まっているのであれば、飲食が年内に済んでいる以上、経費としてもいいのではないか、と思います。
売上が立つことが決まっていない飲食費は、いったん保留
仕事を探すために、いろいろな方と食事をしたり、懇親会に出ることもあろうかと思います。
まだ仕事が決まっていないという場合は、個人的には、その接待交際費は、経費にはせず、事業主貸として保留されたらいかがでしょうか。
会計アプリには経費以外(事業主貸、または事業主借のマイナス)として処理しておきます。
その後、年末までに実際に仕事の依頼があり、納品が完了した、あるいは、来年以降の仕事が決まったら、仕訳を接待交際費(必要経費)に修正しましょう。
あとから振り返って、結果的に、あの飲食なり会費なりの支払いが、売上につながっていると説明できるのであれば、事業主勘定から経費に変更するというルールがおすすめです。
このように、あとから「これは経費だった!」と判断できるようにするためには、レシートは取っておく、誰と会ったか分かるようにしておくことが必要です。
なお、仕入れ先を接待するということもあると思います。将来の経費の削減につながるという説明がつけば、経費を主張できるでしょう。
年末までに売上につながらなかった飲食費は、家事費
法人と違って、接待交際費に800万円の上限がないから、いくらでも経費にできるというのは、誤りです。
売上あっての経費です。
売上のない支出は、家事費(生活費のこと)といい、仕事で貯蓄した財産(所得)を消費しただけです。
自分や家族・友人だけとの食事など、収入を生み出さない消費活動は、所得税法では、経費ではなくて、所得の一部です。
反対にいうと、収入源が増えれば、経費になる飲食費の範囲も広がるというものです。
私個人(税理士業)としては、年末までにそのルートで売上が立たなかった懇親会会費は、経費にしていません。
その出会いが仕事の依頼につながったときに、経費にするルールです。
節税情報に惑わされず、堂々と投資(投下資本を回収できる、または投下資本を減らせる)といえる経費を入れていきたいものです。
編集後記
GASにチャレンジするも、まあ初めてではうまくいかないよねと。明日もちょっとやってみよう。