自分のやっている経理のやり方を教える

税理士も、自分の事業について経理をやっています。
他の業種と違うのは、経理と確定申告が、開業直後から自分できるということです。

そこが、他の独立開業する方をサポートできる理由です。
自分が好きで、負担なくやれている経理の方法を紹介します。

あじさい

取引先を登録しない/登録するのは売上先だけ

会計ソフトによっては、取引先を登録する機能があります。

この機能がなくても、法令上、帳簿には売り先・購入先の名前を入力する必要があります。
なぜか? その入金なり支払なりが本当にあるのか、何も知らない第三者(銀行や税務署)から見ても検証できるようにするためです。

私の場合、なんでもかんでも取引先マスタに登録していません。
正直言って、売上だけです。
なぜ売上は取引先マスタを使うか。これは、あとでお客様別の売上を算出できるようにするためです。

経費については、摘要欄(備考)に取引先名を入力するだけにしています。
マスタには登録しません。
取引先マスタに経費の支払先を登録しないメリットは、取引先の入力画面で、選択肢を増やさないようにするためです。

経費の支払先は多様であり、いちいち登録していたら、「あれ登録したっけ?」となり、ちょっと違う名前で二重登録することが目に見えています。

そもそも、経費を支払先別に分析するという必要性がありません。
通常は、勘定科目別に分かれば十分ですし、分かるように勘定科目を分けていますし、プラグイン(会計ソフトの周辺アプリ)やExcelの活用で、意識しなくても正しく経費が分類されるようにしています。

インボイス登録しているかどうかを支払先の取引先マスタで管理することもできますが、それは別に義務ではありません。
自分で領収書を見て、T番号があれば「適格」にチェックを入れれば済むことです(会計ソフトによっては、適格請求書発行事業者については取引先の入力が必須になったりしますが……)。

経費の現金勘定は使わない/個人な事業主借・法人なら役員借入金

経費を現金で払ったら、貸方:現金を使いたくなりますが、現金勘定を使うということは、事業として小口現金用の金庫を用意し、帳簿残高と紙幣・コインの数との突合を行うということです。

フリーランスや社長だけの法人なら、それはすべて個人の財布から経費を立替払いしたものとして、あとから精算すれば済むことです。

つまり、現金勘定を使うのではなく、事業主借(家計のお金から事業の経費を支払う)か役員借入金(社長が立替払いした経費を、あとで会社が精算する)を使います。

この方法のメリットは、事業主なり社長なりが、現金で払おうがカードで払おうがPayPayで払おううがSUICAで払おうが、原資の勘定科目を一つに絞れることです。
経理がシンプルになります。

自分自身が精算のもれがないように管理していればよく、管理していないと自分が損をするだけなので、きちんとやるはずです。
もちろん、家計では現金出納帳をExcelで作って、経費のもれがないようにするのをおすすめしています。

立替経費を役員借入金で処理。「後からレシートが出てきた」を防ぐには – 税理士 木村将秀のブログ

ただし、まれに発生する現金売上については、現金勘定を使っています。それも、その月のうちに事業用の口座に入金するようにしています。

スキャナ保存はしない/レシートをもらうような買い物は減らす

freee会計などでは、ファイルボックス機能を使い、領収書の写真データをアップし、取引にひもづけることで、電子帳簿保存法(スキャナ保存)に対応した経理が行えます。

私は、やっていません。6月の経費を確認したら、そもそも写真データをアップしなければならないような経費は1~2枚でした。
経費の多くはネット取引であり、またインボイスの保存が不要な交通費です。

ヨドバシカメラは店舗で買ってもネットで買っても同じ値段です。
書籍は税理士向けの書店で買えば割引ですが、Amazonビジネスで買えば定価でもスキャナ保存が必要なレシートすら発生しません。
何なら電子インボイス自体が会計ソフトに取り込まれます。

また、どうしても発生するレシートはExcelに入力し、会計ソフトにインポートしています。
少ないレシートは、13ポケットファイルに月別に入れているだけです。スクラップブックに貼り付けたりはしていません。

時間をかけない経理を自分でしていて、経理にかける日数は日々の数分+月末の半日程度で済んでいます。
こういった税理士のノウハウを、単発相談や税務顧問のお客様にはお伝えしています。

編集後記

午後は関内に出てディスクユニオンでジャズのCD・本の売却。「インボイス登録事業者ですか?」と聞かれるのが面白い。
その後は税理士会、懇親会のあと、ひとりでBar Igetaへ。
懇親会で、自分の好きで得意な分野に熱心に語る方がおり、それにインスパイアされて今日の記事を書いてみた。

1日1新:スターバックス ビタークリームコーヒー。飲む前に混ぜないと、えらい目に遭う。