2割特例は、初めて消費税を納めるほとんどの事業者の方に有利な方法ですが、例外もあります。
それが、原則的な方法(原則課税)です。
原則的な方法では、消費税は、自分の売上の約10%から、他人の売上(自分の経費の一部)の約10%を引いた額を納税します。
消費税の税率が10%なのに、約10%というのは、税込の売上金額÷1.1(税抜売上)×10%=消費税額 だからです。
税込金額を1.1で割って税抜に戻し、税抜金額に10%をかけて税額を出します(軽減税率なら1.08で割って、8%をかけます)。
他人の売上を引くことができるのは、他人の売上にかかる消費税は、その他人が納税するので、自分が納税する必要がないからです。
自分の売上を他人の売上(経費)が超える場合は、2割特例は不利とも言えるが…
自分の経費のうち、「他人の売上になるもの」というのがポイントです。
従業員にお給料を支払っても、それは、従業員にとっては売上ではないので、引くことができません。
減価償却費もそうです。自分の資産の価値を切り分けて経費にしているだけであり、その費用を計上したときには、他人の売上になっていないので、引くことができません。
(反対に、その資産を買った年は、他人の売上になっているので、その代金の消費税分を一気に引けます!)
じゃあ、自分の売上よりも他人の売上のほうが大きい年はどうなるか?
自分の売上の約10%-他人の売上(自分の経費の一部)の約10%=マイナス の場合は、そのマイナスの消費税が還付されます。
一方、2割特例や簡易課税では、還付されることはありません。
有利なのは、税額だけであることに注意!
「今年創業したばかりで売上がなく、設備投資で出ていくばかり」という年は、2割特例よりも、この原則課税で申告したほうが、税負担が減る場合もあります。
ただし、支払先からインボイス(登録番号Txxx…の表示がある)がもらえることが前提です。
事務負担や申告にかかるコストはアップしますので、要注意です!
「そんなに手間をかけるなら、やっぱり2割特例をぱぱっとやって、時間を節約した方がいい」という判断も、もちろん「あり」です。