『本当の翻訳の話をしよう 増補版』

村上春樹、柴田元幸著 新潮文庫 2021.07

村上RADIOを聴き始めてだいぶ経ったからでしょうね、こういう対談本を読むと、村上さんのパートがラジオの声で再生されてしまいます。

昔は、もっと自由に自分の好きな声で再生していたのですが(そりゃ昔も『村上朝日堂CD-ROM』(1998)で、「こんにちは、村上春樹です」や水丸さんとの音声対談を聞きましたが、それほど影響力はなかった。

というのがこの本を読むときの欠点で、しかし内容は異様に充実した脚注と(これは『さよならバードランド』の巻末付録を思い出す)、単行本版から倍増したボリュームです。

近年は翻訳作品が充実している村上さんですが(『極北』『グレート・ギャツビーを追え!』のどエンタメっぷりが最高です)、本作ではどちらかというと古典の話が多いです。マッカラーズやチーヴァーを村上訳で読んで楽しかった人におすすめです。