事実認定の問題、とは

よく「事実認定の問題」という言い方をしますが、意味わかります? 私も長いこと実感が持てませんでした。最近、これはわかりやすいなと思った例を紹介します。

映画「バーニング」に、刑事裁判のシーンがあります。そこでは、暴行罪に該当するかどうか、つまり、被告の行為が故意だったかどうかが争われています。

「わざとやりました」という自白(直接証拠)があれば、故意と認定されるのでしょうが、自白はしていないようです。自白がないのに、どうすれば故意である事実が立証できるでしょうか?

そこで証拠として、「被告が椅子を振り回して家具を破壊した」が提示されます。人が偶然、椅子を振り回して家具を破壊するとは、通常考えられません。ということは、被告が被害者に行った行為は、故意だったと推認されます。

「証拠に経験則をあてはめて、事実を認定する」(『法律に強い税理士になる』木山泰嗣、H26、大蔵財務協会)とは、こういう意味です。