個人事業主の方=生活者+事業主 です。
賃貸住宅で、生活しつつ、仕事しつつであれば、家賃を払わなければ、お仕事できませんよね?
ということは、その家賃は、一部、経費にしてよいのです。
費用×事業主分÷(生活者分+事業主分)=経費。費用を生活費と経費とに分けることを「按分」といいます。
ただ、生活と事業とにまたがる費用の分け方は悩むものです。三つの分け方の考え方をご紹介します。
按分基準 | 面積基準 | 時間基準 | 数量or日数基準 |
生活者+事業者 | 家賃 | 駐車場代 | ガソリン代 |
24時間かかる費用 | 〇 | 〇 | |
仕事で面積を使う | 〇 | ||
仕事で時間を使う | 〇 | ||
仕事で数量を使う | 〇 |
自宅兼事務所の家賃は、なぜ面積で按分するか
自宅兼事務所の場合、経費になる「地代家賃」=仕事スペースの面積÷住宅全体面積 で按分するのが一般的です。
他の費用の場合は、(仕事をする時間×仕事をした日数)÷(24時間×365日)で分けたり、仕事をした日数÷365日で分けたりします。
じゃあ何で、家賃は、仕事をする時間や日数で按分しないのか?
自宅兼事務所に、仕事用の備品や資材を置いてあると思います。
自宅に仕事のモノを設置するスペースが、24時間365日必要なので、家賃を設置面積だけで按分するのが正しいのです。
24時間365日、お金がかかり続けるものを面積で按分したあとに、さらに時間で按分したら、経費が少なくなりすぎます。
自宅と別に仕事用の倉庫を借りれば、その倉庫の賃貸料が100%経費になるのと同じことです。
24時間費用がかかりつづけて、面積で分けられるものは、面積で按分します。
月極駐車場の賃料は、なぜ時間で按分するか
仕事にも使う車。それを保管しておくための月ぎめ駐車場が必要です。この賃料を払わないと仕事ができませんので、一部経費にできます。
自宅兼事務所の家賃と同じなのは、24時間365日、賃料がかかりつづけることです。じゃあ時間で按分しなくていいの?
そういうわけにも行きません。仕事にも使う車は、生活にも使うからです。なので、駐車場代も100%経費にはできません。
じゃあ面積で按分するか? それもできませんね。駐車場は100%、その車の設置面積になっているからです。
24時間費用がかかりつづけて、面積で分けられないものは、時間で按分します。
日数で按分するのはダメか? 仕事をした日数÷365日で。これもむずかしい。仕事をする日も、プライベートで車を使うでしょうから。
フリーランスだけど、車で仕事をする時間は長くて8時間、という場合には、(8時間×仕事をした日数)÷(24時間×365日)で分けるのがベターでしょうね。
3カ月分くらいサンプルでデータを取ってみて、その後大きく変わらなければ、その後も同じ割合で按分しつづけてもよいと思います。
ガソリン代は、なぜ日数で按分するか
ガソリン代が、月ぎめ駐車場代と同じなのは、車に関する費用ということです。じゃあこれも時間で按分すればいいか?
どうでしょうね。ガソリン代が月ぎめ駐車場代と違うのは、24時間費用がかかるわけではないことです。
寝ている間に、ガソリン代はかかりません。それなのに、月ぎめ駐車場代と同じように、仕事をしている時間÷24時間で按分すると、分母にガソリンを使用していない時間が含まれてしまいますよね。
ガソリンは、使った分だけ消費されて、なくなります。それが家賃や駐車場代と違うところです。
そこで、仕事に使ったガソリン代を分子にして、ガソリン代の全体を分母にする必要があります。つまり、消費量で按分するのです。
そのため、一般に、ガソリン代(車両費)の按分は、仕事の走行距離÷トータルの走行距離 で経費を出すのがよいとされています。
この方法(数量、従量按分)は理想的ですが、しかし、そんなデータ、現実に取れますか? タクシーや運送業でなければ、その実行は難しいと思います。
そうすると「次善の策」で、ガソリン代は、仕事をした日数÷365日で按分するのはどうでしょうか? 土日祝完全休みなら営業日÷365日。
休日に決まりがなければ、これも売上日報で仕事をした日を3カ月程度カウントして分子に、3カ月分の日数(約90日)を分母にします。売上日報で、この按分の根拠となる仕事日数が示せますので、おすすめです。
今日のできこと
- 電子書籍ストアで、『新九郎、奔る! (15)』の発売を知り、近所の書店にダッシュして買ってきました(「リアル店舗で見て、ネットで買う」の逆ですね)。年々物騒になる本作、ついに戦さが始まりそうです。
- 日本酒「金陵 濃醇純米」を飲みました。「真澄 奥伝寒造り」と同系統の味で、値段が安い分、味わいもシンプルに。コスパがよいと思います。