あまりにも面白い『バーナード嬢曰く。』第7巻

ここ数年ハマっているマンガが、『バーナード嬢曰く。』です。高校生が図書室で過ごしつづける漫画です。

連載期間は12年以上という長さですが、面白さの温度が安定しています。

笑い、オチのつき方が新しいまま、12年。

ギャグマンガで、その1話の長さが不定というフォーマットは、福満しげゆき『うちの妻ってどうでしょう?』を彷彿させなくもないですが。あんまり関係ないか。「新しいものは永遠に新しい」を地で行く作品です。

7巻で面白かった回は

105冊目【読書ノートは難しい】。図書委員会回です。なまじ読書家を自称するゆえに、下手なことが書けなくて緊張してしまう他の3人。高校生らしい自意識や感情がリアルに描かれていて、いいなあーと思います。

112冊名【『きかんしゃトーマス』の文学性】。モブの発言が出てくるレア回です。本作の特徴は、登場人物が4人しか出てこないことで、単行本1冊にわたって、本当に4人しか出てこないこともめずらしくありません。

今回のモブの発言は、けっこう納得というか……。「『天気の子』で主人公が犯罪をするのが許せない」というツイートを読んだことがありますね。

127冊目【『5分間リアル脱出ゲームR』】。今作は、4人しか出てこないのですが、4人いらない、と感じるときもあります。

普通の漫画は、登場人物ごとに個性があるのですが、個性という意味ではこの4人は同一人物なんですよね。読む本の傾向が違うだけ。それが新しい。

今回はその頂点で、4人とも読書好き→国語が得意→クロスワードパズルが得意。でも数学が苦手。4人が同一人物ということがよく表れていて、面白かったです。

あとは、遠藤君と長谷川さんのラブコメパートがひさびさにありの、長編ありの、満足度の高い巻でした。何か言いたそうな、口が薄く開いた顔など、表情も豊かになってきました。

女子3人・男子1人フォーマットで育つと……

私は、高校時代は文芸部で、1年間、女子3人・男子1人という構成で過ごしていました。

今作の登場人物4人と同じ男女比で、本の話をしていたのが似てて、個人的な懐かしさを感じています。いまも、女子3人・男子1人という家族で過ごしているのも、不思議な因果です。

なので、この漫画のフォーマットに落ち着きを感じます。遠藤君ポジションですね。

他は、男子1人で合唱部の助っ人(顧問の男の先生と2人で混声合唱やったことも)、放送部(HAVC)もやっていました。自分以外は基本、女子しかいない部活です。

すると、『バーナード嬢』でも出てくるように、男女どちらも、けっこう気を遣った会話になるものです。

変な話ですが、男しかいない(男が多数)の場所でされるような話題が出てこないことに慣れてしまいます。

男社会が苦手な人間になる気がします

学生時代は、男子同士で、女子をバカにするような会話を聞いたりしました。男尊女卑的なあれですね。

社会人になってからも、男同士でされる冗談とかがけっこうストレスだったと記憶しています。

7巻にも、ジェンダー的な話題(「家父長制的?」)が出たりしましたね。まあ私はフェミニズムとか、特に興味はありませんが。

私みたいに結婚して、妻の姓に変える男性の割合は、人口比で数パーセントくらいだそう。なんだかんだ男社会の圧というのは、いまもあるのでしょう。

ひとり税理士になったのは、男社会が苦手だから、だったのかもしれません。


今日の一冊

  • 菊地成孔『戒厳令下の新宿 菊地成孔のコロナ日記』(草思社)。神奈川新聞の書評、文章量の50%が、粋な夜電波リスナーで菊地ファンであることの説明になっていたのが面白くて、購入。
  • 村上春樹とのエピソードが面白かったです。「グラスパーを聴く必要がないと断じた村上春樹に、今ジャズを聴かせてやる!」が目的としか思えない大西順子『Tea Times』を、村上春樹がぜんぜん宣伝してくれなれなかった、というのが特に。