納税は義務。
収入が一定金額ある以上、納税は避けられない、というのが原則です。
でも、亡くなるまでもらえる公的年金というものがあります。年金も原則として確定申告が必要な収入です。
年金受給者が100歳になっても、110歳になっても、確定申告は必要? 本当に? そんなこと不可能でしょう?
と、違和感を持って正解です。実は、一定の条件を満たすと、確定申告をしなくてよいことになっています。
ルールが直感や国民感情に反していると思えるとき、法律にはちゃんと例外が用意されているものです。
原則ルールの貫徹が不可能ならば、救済がある
- 各種天引き前の年間の年金収入≦400万円
- 年金以外の所得の合計額≦20万円
の両方の条件を満たすときは、確定申告書を作って、納税額が出た場合であっても、確定申告はしなくてよいのです。
国税庁公式の確定申告書等作成コーナーでも、公的年金のある方が申告書の作成をすると、「確定申告は不要です。納税額は×××円です」といった最終結果が表示されるときがあります。
この表示、税額が表示されるから、「申告して納税しないといけないのかな?」と思うかもしれませんが、この税額は無視してよいです。
「確定申告は不要」という言葉を信じて、もう、何もしなくてもいいのです。
この例外ルールはなんのためにあるか。年金受給者の方が、加齢とともに申告書作成ができなくなることを想定して、「無理して確定申告しなくていいですよ」と救うためにあるのです。
そもそも年金からは源泉徴収で納税されていますし、正しい税額と差額があっても、400万円以下なら知れているからです。
公的年金>400万円 で100歳になったらどうするか
それほど多くないと思うのですが、年金収入が400万円超の方は、100歳になっても自力で確定申告をしないといけないのでしょうか?
自分での申告書作成がつらいから、確定申告書の作成をだれかに頼むとしても、税理士以外の人がその仕事を受けると違法行為になってしまいます。でも税理士に頼むと、基本有料です。
じゃあ、納税の義務はどうなる?
もちろん、そんなの、自分の子供なり、孫なりに頼めばいいのです。スマホ申告を手伝ってもらえば、ご自身の名義で確定申告できるでしょう。子に確定申告会場へ付き添ってもらっても、単独で行ってもらってもいいわけです。
それをとがめる税務署員も、税理士もいません。親族同士で支えあうのは、ふつうの、当たりまえのことだからです。
運用上は、ご本人のマイナンバーカード&重要書類(利用者識別番号と暗証番号)と、実際に会場に行かれる子の運転免許証などの本人確認書類が必要です。
子のスマホで親御さんの確定申告をすることもできます。
年金以外の所得>20万円 の判定の注意点
400万円以下の年金収入と、それ以外の所得20万円以下 の二つの条件をクリアすれば、確定申告不要制度が利用できます。
それ以外の所得20万円の計算は、ちょっと罠があります。
青色申告特別控除55万円または65万円を引いた後の金額が20万円以下になっても、2つ目の条件をクリアしたことになりません。
55万円以上の青色申告特別控除は、確定申告書を期限内に提出しないと受けられないからです。申告不要を選択したら、当然、この特別控除も受けられないことになるので、申告しなくていいかどうかの判定の際には、要注意です。