村上春樹は、小説の書評で「ぐいぐい読めたが、良くなかった」というのはおかしいと述べていました。小説に「ぐいぐい読める」以上の価値はないはずだと。
『プレップ租税法』は、まさにそんな租税法の本です。手に取って、プロローグから8ページくらい試し読みしてみてください。私はこんなに、先を読みたいという気を起させる文章を、税法の本で読んだことがありません。
法学部1~2年生向きの税法の全体像が掴める本という意味で、『よくわかる税法入門』の類書ですが、ラブコメ要素のあるプレップの方が笑えます。著者はライトノベルの愛読者のようですが、文体は上質な軽薄さをキープ、大人が読んでも退屈しません。
「あとがき」で取り上げられている問題、登場人物は悩んでいましたが、税理士の私は即答できました。同業の方はみんなそうだと思います。プロローグからあとがきまで、読んでいて笑いが絶えない傑作です!