freeeスタータープランで消費税の納税額を予測

クラウド会計ソフト「freee会計」のうち、個人事業主向けで最も安価なスタータープランは、2024年分から消費税に関する機能がなくなりました。

消費税の税区分別の一覧表が見られなくなったり、消費税申告書が作成できなくなったり。

売上規模は小さくてもインボイス登録されている方については、ちょっと不便なところがあります。

ただ、会計データ(仕訳帳)としては、消費税の税区分の情報を持っているので、これを使って、現時点の納税予定額を確認することができます。

以下、税込経理で、全額控除ができるスモールビジネスの方向けに解説します。

遠くを見つめる美空ひばり像

仕訳帳をエクスポートし、ピボットテーブルで分析する

まず、仕訳帳のCSVデータをダウンロードします。

  1. freee会計のメニュー→レポート→仕訳帳
  2. インポート・エクスポート
  3. CSVテンプレートでエクスポート
  4. テンプレートの選択→freee汎用形式
  5. 文字コードの設定→Windowsの方は Shift-JIS
  6. 出力開始
  7. 出力した帳票一覧からダウンロード

仕訳帳のページや、出力した帳票一覧のページは、ブックマーク(お気に入りに追加)して、ブラウザのツールバーに置いておくと便利です。

ダウンロードしたCSVデータをExcelで開いて(文字化けしていたら、Shift-JISでダウンロードしなおします)、新しいシートを追加します。

新しいシートに、 Alt → N → V → Enter でピボットテーブルを作成します。

選択範囲は、CSVデータのすべての列全部(A:CT)とします。

左図のようにピボットテーブルを設定すると、借方勘定科目別の税区分集計表ができあがります。

(以下の表の数字は乱数 ※RANDBETWEEN関数で生成したもの)

ここからさらに、「借方備考」を追加すると、内容と消費税の税区分があっているかチェックすることもできます。

税区分に間違いがないことを確認したら、ピボットテーブルの最終行にある、税区分別の「総計」を見ます。

  • 課対仕入10%
  • 課対仕入8%(軽)

貸方勘定科目についても、同様に、別のワークシートにピボットテーブルを作成して、貸方税区分の正しいことを確認して、

  • 課税売上10%
  • 課税売上8%(軽)

の「総計」を確認します。

チェックする際に、

  • 借方勘定科目に「課税売上10%」がある
  • 貸方勘定科目に「課対仕入10%」がある
  • 食品を扱わないのに「課税売上8%(軽)」がある

ような場合には、内容を確認し、誤りがあればfreee会計を修正し、エクスポートしなおすか、Excel上でも税区分を直して、ピボットテーブルを更新します。

借方に売上、貸方に仕入があっても、仕訳の修正や前払費用などからの振替であれば問題ありません。それぞれの総計からマイナスすればよいです。

また、あとで家事費・経費の按分をする場合は、その分を、課対仕入の総計からマイナスすることになります。

納税予測と2割特例との有利判定をする

今回は予測なので、精密な計算はしませんが、概算方法は以下のとおりです。

  • 課税売上10%÷1.1×0.1+課税売上8%(軽)÷1.08×0.8=消費税の総額
  • 課対仕入10%÷1.1×0.1+課対仕入れ8%(軽)÷1.08×0.8=控除税額

「消費税の総額」-「控除税額」=一般課税の納税額です。結果がマイナスになる場合は還付額となります。

還付になる場合は、簡易課税制度を選択していない限り、一般課税で申告すればよいです。

納付になる場合は、2割特例を使った場合の納税額を予測します。

「消費税の総額」×0.2=2割特例の納税額 です。

これが、先ほどの一般課税の納税額より少なければ、2割特例を選びます。

いま、9月末までの9カ月分のデータがあれば、この納税額÷9×12が3月末に納税する消費税のざっくり予測額となります。

あと3カ月の売上や経費の予測がつけば、その数値をもとに総額・控除税額を計算して、予測を出してみましょう。

最終的に確定申告書等作成コーナーの消費税申告機能で申告する

これを、12月までの会計データが終わり、決算整理も終わったところで、同様にピボットテーブルで集計した科目別の合計額を出します。

国税庁「確定申告書等作成コーナー」で消費税申告書が作れます。

会計データだけfreee会計でつくり、申告は別のWebアプリを使うと、コストはかかりません。

ただ、先ほどチェックした税区分が正しくないと、納税額・還付額も違ってくることになります。

ただ単にもらっただけの雑収入(補助金など)を課税売上10%に区分していると、納める必要のない消費税を納税してしまうことになります。

消費税は、経費の税区分を正しく選ぶことが、申告書作成のポイントです。

取引の内容と消費税の税区分についてネットで調べたり、相談したりして、税区分の精度を上げていきましょう。

編集後記

日本の財政に関するセミナーをZoom受講。諸外国はコロナ支出を取り戻すべく増税しているのに、日本はまだしていないとのこと。増税&仕事をする期間を延ばすという傾向は変わらないですね……。