ジャズファンはジャズミュージシャンとどう折り合いをつけているのか

ジャズミュージシャンの伝記や自叙伝を読むと、それはそれは違法行為をする人たちのオンパレード。

しかし、ジャズミュージシャンたちのCDは撤去されることもなく、売られ続けています。

これがJ-POPで同じようなパターンだと、CD棚から撤去される人、放送されない人たちがいる。

この違いはなんだろうと考えてみると、端的には、ジャズミュージシャンのほとんどがすでに亡くなっているからですね。

10数年前、マイケル・ジャクソンが亡くなったときに、この「死」が人と音楽とを切り離す力を、強く感じました。

生きている間は、偏見があってまったく聴いていなかったけれど、亡くなってから聞くと、その偏見がばっさり落ちて、すばらしい音楽に聞こえたものです。

死者をきちんと、死んだように扱うこと。それができていれば、比較的容易に、人と音楽とを分けて考えられるように思います。

死者を生きているかのように扱わないことが大事だと感じます。

ジャズ喫茶 BIRD

鎌倉は由比ガ浜大通り、北側の柵にくくりつけられた看板に誘われ、路地を進み、住宅地の奥にあるジャズ喫茶。往年の名盤から70~80年代のアコースティック・ジャズが聴けます。

オープンして18年になるそうです。私は十数年前に行ったことがあって、そのときはもっと明るい店内だったと思うのですが、裏手にアパートが建ったせいで、ちょっと薄暗くなっていました。

しかしB&Oのオーディオセットは良い音を出しています。2セットあるスピーカーの内側を使用中。壁掛け型CDチェンジャーは、プレーヤー自体が動く超カッコいいもの。一見の価値ありです。

入口の看板にメニューと値段が載っていますが、実際にはこの値段ではなく、ホットコーヒー600円です。ジャズ喫茶としてはコーヒーがおいしい。お食事もあります。

観光客でにぎわう鎌倉の街とは思えない空間で、ジャズ喫茶の親父のうんちくに耳を傾ける、貴重な時間が過ごせるお店です。

『ブルータス』ジャズ特集のスーパーマリオ

星野源インタビューで、「スーパーマリオブラザーズ」地上BGMが、渡辺貞夫にインスパイアされて作った曲であることが明かされていますが、スーマリの作曲者が、ジャズファンであることは隠しようがないですね。

レッキングクルーのこの曲。

マイルス・デイビスの「So What」8分あたりのベースラインですね。

あとは地下面のBGM(1-2など)。

似てるので有名ですが、「Calypso Frelimo」ですね。

もはや偶然ではないと思います。

新年に聴くジャズ「マスターピーシィズ・バイ・エリントン」

「ジャズ・ファンのCDコレクションにエリントンがないのはありえない」と言ったのは故中山康樹先生ですが。

私もコルトレーンとやってるやつと、筒井康隆『ジャズ小説』の巻末で紹介されていたパリ・コンサートは持っていました。が、売ってしまいました。

年季の浅いジャズ・ファンって、1曲10分が当たり前のLP収録曲で育ってきていると思うんです。まあ自分のことですけど。

で、エリントンみたいな古いジャズは、SP収録曲で1曲3分程度が十数曲たたみかけてくるCDが多い。これがきついですね。

こっちは慣れてる長い演奏で聴きたいわけです。それにこたえてくれるのがこの赤いジャケットのCD「マスターピーシィズ・バイ・エリントン」です。

エリントンは、これより時代が後のやつでも、こういう長尺の演奏をしてなかったりしますので、これが間違いないです。

このゆったりとした静かなサウンドは、新年の夜をまったり過ごすのに最適と思います。

レッド・ガーランド「ア・ガーランド・オブ・レッド」

マイルスファンあるあるで、マイルスバンドのサイドメンがよかったから、その人のリーダー作を買ってみると、「あれ? こんなはずでは……」とがっかりする、というパターンがあります。

マイルスのサイドメンは、原則、マイルスの楽器の一部として演奏しています。

なので、サイドメンとして聴く分には最高なのですが、マイルスファンにとっては、サイドメンが自我を持って自分の思うようにやった演奏など、もともと嗜好の対象ではないことが多いのです。

レッド・ガーランドは、だいたいの人が「リラクシン」あたりで好きになると思いますが、じゃあ村上春樹が推薦していたからといって「グルーヴィー」を買ってがっかりすると思います。(村上さん推薦盤は、まず合わない)

正解は、この「ア・ガーランド・オブ・レッド」です。まさに、「リラクシン」と同時期の演奏で、ああいう演奏がもうちょっと聴きたいなあー、という要望にしっかり応えてくれる一枚です。

オーニソロジー、4年ぶりのニューアルバム「食卓」

オーニソロジー「苦い」

クレジットは、moraに記載があります。

全体的には癒し系のサウンドで、元気がないときとか、街を歩き疲れたときに聴くと染みそうです。

その中でもいちばんポップなのが「苦い」ですね。物理的に移動しながら気持ちが移動する歌です。MVもムーブ感あふれる良作です。

菊地成孔プロデュース作品は、本人を菊地さんの楽器として聴く感じになりますが、この曲も後半にポリリズミックな展開があります。

前作「101」では封印していた本人のギター演奏や、菊地さんのサックスも久々にアルバムで聴けます。1曲目はアウトロで、6曲目にザ・ボーカルものの間奏という感じで。

まさかと思ってビュロー菊地SHOPを見に行ったら、CDはなくて配信のみのリリースです。

近年、リリースがない「けもの」や、菊地さん自身の新作も待たれます。

The Bootleg Series, Vol. 7: That’s What Happened 1982-1985 / Miles Davis の感想

ディックが死んで30年だぞ! 今更初訳される話がおもしろいワケないだろ!

『バーナード嬢曰く。』(1)

マイルス没後31年、今年の新作。まあ面白いかどうかでいうと、上で神林さんのいうとおりなんですが。

「ユア・アンダー・アレスト」が時代に合わせてコラージュされる前段階のまとまった演奏が入っていて、ふつうに聴けます。

あれ、ボブ・バーグ時代のアルバムのはずなんですけど、ボブ・バーグ5秒くらいしか吹いていませんでしたよね?

また、3枚目はカムバックバンドの1983年のライブ盤。隠れた名盤「スター・ピープル」好きには、またビル・エヴァンス(サックス)が聴けてうれしい。マイルスも元気です。

マイルスが亡くなった直後に出版された『レコード・コレクターズ』の追悼本では、この時代のアルバムは1ページにまとめられて、「聴く必要なし」の扱いでした。

でも、私は割に好きなんですよね。マイルスのブートで唯一所有する価値のある「デビル・オア・エンジェル」(HI HAT盤ならタワレコでも買える)なんて、とくにお気に入りです。

モノンクルは二度来る 新曲 READY

モノンクル / READY

クロスシー、女性向け腕時計のCM曲(2年ぶり2回目)。

しばらく、まったく情報なく音源のみヘビロテしてみたんですが、「結婚」に関する歌だなと思いました。タイトルが「結婚する準備はできていた」、歌詞が「健やかなるときも、病めるときも」みたいなノリでしたので。

その後、各種ニュースサイトを見るとウェディングソングと紹介されていました。

モノンクル結婚発表もあったので、「ウェディングソングを作るといいかもなあー」と思っていたら、速攻来た感じです。

モノンクルの結婚ソングと言えそうな曲は過去にもあって、「flower」(2013)がそうです。曲が菊地成孔さんとの共作で、リズムが「らしい」です。摘まれる花に結婚する女性を喩えた美しい歌詞は、角田さん作。

2曲とも、結婚する女性に贈りたい名曲です。

モノンクルが2015年9月27日に結婚していた

既発音源の一覧

「モノンクルがル・クプル化していた」との知らせが街に広まり……そして夜が明けた。

ということで、2015年9月27日というと、「南へ」リリースから約1年後ということになります。ふつうに「粋な夜電波」に出てた頃ですね。角田さんが歌詞を吉田さんにあて書きしていることに突っ込まれていました。

しかし、これで腑に落ちたというか、そうでないと2017年の「ここにしかないって言って」のMVは撮れないよなとか、最近のライブ配信も深夜に自宅でやってたりしていたな、という感じです。

しかし7年前となると、「おめでとうございます」というのも妙な話。末永くお幸せに。

  • YouTubeチャンネル登録者数 7,820
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このあたりの規模感が増していくことを祈っております。「すずめの戸締まり」の主題歌を期待していましたが残念。

モノンクル夏の方向転換 HOT POT “火鍋”

モノンクル / HOT POT

「岡崎体育かな?」というムードただようモノンクルの最新曲 HOT POT。わざと映像がざらつくし無意味に分身するし歌詞を画面いっぱいに貼り付けるし。

これは、昔からのファンが、期待と違う曲を聞いて去っていきがちな方向転換です。しかし、そんな経験は中学生で済ましていると思います。私は意外に好きです。

私が当初好きになった曲は菊地成孔作曲だったりして、モノンクルの真髄に触れたのは空想飛行~夕立のラインでした。これらは確かに名曲、だけども藤井風の「きらり」と比べても名曲かと言われるとたじろぐ。中山康樹いうところの「ジャズ内名曲」に過ぎないのか……。

とにかく、いままでの方向性でブレイクしないんだから、いろんな方向性を試してみてほしい。リリース未定とのことですが、楽しみに待っています。